放課後。クラスの友達はみんな帰って
誰も居ないはずの二年桜組にふたりの人影。
なぎさとほのかがなにやら言い争って大ケンカ!
「なぎさが!」「ほのかが!」
「そっちが悪い!」「私は悪くない!」
むうううう……互いに凄い顔して、おでこぶつけそうなくらいにらみ合って
「もう知らない!」「こっちの科白!」
―――もう絶交!―――
プィッ!て にらみ合うふたりがほお膨らませて
互いに明後日の方にらんで立ち上がり、
「真似しないでよ!」「真似なんかしてません!」
どかどかどどか!
並んで互いに肩ぶつかりながら教室の外へ。
「何処行くのよ!」「帰るのよ!」ぐいっとなぎさの前にほのかが進み出る。
「私の前を歩かないで!」なぎさがほのかを抜き返す。
さらにほのががなぎさの前に出てなぎさが抜き返してほのかが…
いつの間にか下駄箱までを奔って競争、大レース!
さすがラクロス部のエース、なぎさが先に下駄箱に到着!
ふふ〜ん♪なんて横目で遅れてきたほのかに「勝負あり!」
勝ち誇った顔で靴を履き替えると
「お先に!」ちょっと嫌味っぽく挨拶したりして。
「むか〜〜!」
ベローネ学院の誰も知らない事だけど、
結構勝気で頑固なほのか。こんななぎさの態度に腹が立って腹が立って!!!!
でも、悔しいけれど負けは負け。
それでもさっきのケンカまで負けた気がして悔しくって悔しくて!
と・こ・ろ・が!一発逆転!
――ぴかぴかごろろごろ―――
遠くでカミナリが鳴ってる外は大雨!
科学部所属で万事やる事そつないほのか。
ちゃあんと折りたたみの傘をカバンに忍ばせて準備OK
一方、万事出たとこ勝負で明日は明日の風吹く!なァんて生き方のなぎさ。
当然傘の用意なんてしていない。
玄関出たところで恨めしそうに雨雲眺めてたら
「お先に、美墨さん」ふふふ〜ん♪ってさっきのお返しってほのかの挨拶。
「むか〜〜!」悔しがっても仕方ない。勝負あり!なぎさの負け
雨の音を聞きながら玄関に叱られて
立たされてるみたいななぎさの視界に
雨ににじむ校庭から人影ひとつ。
―――ほのか!―――
傘をさすほのかが引き返してきた。
「…なあに?帰ったんじゃないの?」
「なぎさこそ…帰らないの?」
「帰りたくっても…傘が無いの。」
「傘が無いのなら…私の傘に入っていけば良いじゃない。」
それから…
ふたり並んで相合傘。
傘の柄をにぎるほのかの手の上に
なぎさが手を重ねていつものふたり。
ケンカの理由って何だっけ?
おしまい