なぎさと志穂と莉奈とユリコがやってきて、
ほのかの家に今日はお泊り。
夕ご飯の後、トランプ大会でお風呂の順番と組み合わせ。
ほのかとなぎさの勝ち抜けで一番風呂へ。
でも…真っ赤な顔でのぼせたふたりが部屋に戻ってきたのはずいぶん時間が過ぎた後。
「遅い遅い遅〜い!待ちくたびれちゃったゾー!ふたりとも何してたの!?」
その理由は…
「わァ!ほのかの家のお風呂って広いんだなァ!ひゃっほう!!」
鼻をつまんで湯船に飛び込むなぎさ。
だっばぁぁぁんん!!
「ふぅ〜〜!!良いお湯!ほのかも早く早く!」
曇りガラスの向こう側、ほのかの姿がうっすら見える。
からららら…
髪をアップにまとめ大き目のバスタオルで身体を覆ったほのかがやってくる。
なぎさが湯船から腕を伸ばしバスタオルの裾をつかみ、
「ほいっと!」バスタオルを剥ぎ取る。
「きゃっ!やだぁ!もう!」あわてて胸を手で隠ししゃがみこむ。
「いいじゃん!いいじゃん!オンナ同士裸のつき合いってやつ?」
「もう、なぎさったら!」頬を膨らませながら、かけ湯を浴びる。
熱い湯がほのかの肌を玉のように転がり流れ落ちる。
「ほっほぅ!雪城さん、なかなかアダルトですなぁ!」
「え?…」なぎさの視線の先がほのかの下半身を見詰めている事に気がつき、
「な・ぎ・さっ!」湯を手のひらですくい、ぱしゃっ!となぎさの顔にかける。
「うわああ!ヤ・ラ・レ・タ〜!!」大げさな仕草で立ち上がり
バシャン!と湯の中に仰向けに倒れる。
「ほっほぅ!美墨さんもなかなか…って、やっぱり髪の色と同じなのね…」
「え?…あっ!」慌てて脚を閉じて「ほのかのえっち!」
「うふふ」「あはは」
「ほのかも早く入りなよ!」「うん!」
ふたりで並んで湯船につかる。
「はぁ〜気持ちイイ…!生き返るなぁ…極楽極楽!」
「死んだり生き返ったり大変ね!」
「良い香り…」大きく息を吸い込む。
「おばあちゃまがお風呂好きだから凝っちゃって、
ヒノキのお風呂は森林浴と同じくらいヒーリング効果が…」
「ほのかのお話でのぼせそう!」ほのかのうんちくも時によりけり、
「駄目駄目!100数えてから!」
「1・2・3・4・5・6・7・8・9・100!」
あっという間に数えて、ざばっと湯船から立ち上がり飛び出るなぎさ。
「私の100は10進法なの!」
「それ違う…」苦笑しながら湯の中から
洗い場でこしゃこしゃと身体を洗うなぎさの姿を見て、
意外と色白なんだな…とほのかは思う。
スパッツとポロシャツの跡で肌がキレイに色分けされているなぎさの肌。
「うっわ!すっごい!ありえない!髪の毛の中からこんなに砂が出て来る!」
髪をガシガシガシ、と勢いよくシャンプーしながらなぎさが笑う。
「ラクロス頑張ってるもんね!」
なぎさの髪にシャワーをかけてシャンプーを流してあげるほのか。
「よっし!私がほのかの背中流してあげる!」
ほのかを湯船から引っ張り出して背後にクルっと回り込み、
ごしごしごっし!勢いよくほのかの背中をこする。
「痛い痛い!なぎさ〜!強くこすり過ぎ!」
「そう?お父さんなんかもっと強くこすれって言うよ!」
力を抜いて軽目に洗うがほのかの白い肌はたちまち朱に染まる。
「よしっと!一丁あがり!」ざっばん!と湯で石鹸を流す。
「なぎさ、今度は私が洗ってあげる。
良い?こうやって石鹸をよ〜く泡立てて泡立てて…クリームみたいにして、
丁寧にお肌に塗りこむように、小さく円を描きながら
マッサージするみたいに、やさしくやさしく…」
「うふふ!くすぐったい!」モゾモゾと身体をくねらせる。
「ジッとしてなきゃ…」なぎさの背中に青いアザを見つけ息を呑むほのか。
「なぎさ…この…あざ…」ハートの形のあざ。
「あ!…うん…ラ、ラクロス!
そう!ラクロスの試合でボールが当たっちゃった…かな?」
「私って…バカだな。」
ハートの形のボールなどあるものか。
それにラクロスのコートは芝生できれいに整備されている。
いくら激しい試合でも頭から砂を被るはずも無い。
今日の戦闘―――足を掴まれ地面に叩き付けられた時―――
なぎさはほのかと地面の間に滑り込み身体を投げ出し私を助けてくれた。
その時に私の手甲のハートが背中を傷つけたのだろう…
「…ごめんね…なぎさ」
なぎさは何時もどんな時でも私を庇って私を援けてくれる。
そんななぎさの傷がせつなくて悲しくて、愛しくて…
なぎさの背中を抱きしめる。
胸に響くなぎさの鼓動。
背中を叩くほのかの鼓動。
「ほのかの事は…私が護る、最初から決めてるんだ。」
「無理をしないで、なぎさがいなくなったら…わたし…」
どちらからともなく顔を寄せあうふたり。
それがふたりにはとても自然な事に思える。
ふたりの唇が重なるあと僅か…
「…へっくしゅん!」
「なぎさ…!」
「あはは…へっきゅしゅん!」
「もう…なぎさったら…くちゅん!」
「あはは」「うふふ」笑い声も重なるふたり。
なぎさが ちゅっ! ほのかの頬にキスをする。
それがふたりのヒミツ。
プリキュアである事よりもっと凄いふたりのヒミツ。
おしまい