長門かよこに惑わ(・∀・)サレロ!!

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762メロン名無しさん
「うわあ、綺麗……! 今年は、桜が長く咲いてますね」
巴が満開の桜を見上げて、声を漏らす。
「……ああ」
そう答えはしたものの、海堂の目に映るのは、桜ではなく好きな女の姿だけ。

うららかな春の日差しの中、町外れの小さな公園に咲き誇る何本かの桜。その下に二人はいた。
「…しかし、良く見つけてきたな、こんな場所」
「海堂部長、人が多いところあんまり好きじゃないでしょう? だから、一生懸命調べたんですよ。
菜々子さんに教えてもらったりもしたし」
「……お前は、賑やかな方が良かったんじゃねぇのか?」
「賑やかなのは那美ちゃんたちと行ったお花見で、もう充分タンノーしました」巴の笑顔が苦笑に変わる。
先週の週末、巴は桜乃や朋香、それに那美といったメンバーでお花見に行ったのだが、朋香がリョーマも呼ぼうと騒ぐわ、
桜乃は酔客に絡まれるわ、那美は那美で缶チューハイをジュースと間違えて一気飲みした挙句に酔っ払って服を脱ぎ始めるわで
それはもう大変な騒ぎだったのだ。
それに…好きな人とのお花見なんだから静かなところで一緒にいたい。
――そう思って場所を選んだのだが、どうやら正解だったようだ―-。巴は胸の中で微笑んだ。
海堂の表情がいつもより穏やかだ。彼がここを気に入ってくれた証拠だ。
「おい、そろそろメシにしねぇか?」。
「そうですねー、お昼にしましょうか。今日は頑張ったんですよ!」
海堂が一番大きな桜の木の根元近くにシートを敷き、巴が持参した花見弁当を広げる。
「……すげぇな。これ全部お前が作ったのか?」
なんとも見事に整えられた花見の重。
料理が上手いという事はもちろん知っていたが、これほどまでとは。海堂は舌を巻いた。
「えへへへへへ。5時に起きて頑張っちゃいました。上手にできてるといいんですけど」
海堂のストレートな賞賛の言葉に、巴の顔が熱くなる。自分の料理はこれまでにも2度ほど海堂に食べてもらい、
そのつど誉めてもらっているので味に関しては心配ないはずなのだが、何しろ『両想い』になって初めての
『休日練習』ではない、『デート』だ。気合も入ろうというものだ。