2004年名作は生まれるか?その58

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171メロン名無しさん
夜勤病棟は至高のアニメーションである。これは現今の社会状況、言論、思想史の潮流を見るだに、
もはや言及する必要も無いほど自明であり、必然であるように思われる。学ぶ事多くして、作品としては
抜き身の刀のように鋭く、一つの無駄も無い。そして、放たれた光は、決して華美ではないが、我々を魅了して止まない。
エンターテインメントとしても非のうち所がないこの作品に直面した時、我々は素直に賞賛の辞を述べずにはいられない。
しかしながら、大衆はこれに気づかず、あまつさえ気づいている者すらもこれ以外の選択肢を与えるような愚図のごとき真似をする。
ここで、もう一度深く再考していただきたい。夜勤病棟には全てがあるではないか。現代の退廃した社会思想、
固定観念を打ち砕き、この世間という単位に最も気を払う日本において、モラルなど微塵に気にすることもなかった、
Dr.平坂の行動の数々をしかと見返して欲しい。彼の鬱積したルサンチマンは全ての社会構造、権力を転倒させ、
あまつさえ人々の精神をも覆しているではないか。そのような緊張感を伴ったダイナミズムを今日の氾濫する作劇に見出しうるだろうか。
そして、メタレベルで当作品を鑑賞する際に、我々はここにはまたもうひとつの転倒作用が表れていることに、驚きを持って気づか
されるではないか。それは、転倒の転倒、最終的な平坂自身の権力の転倒であり、そしてそこに感情移入し、同一視していた我々視聴者、
そして、制作者自身にも及んでいることを指す。果たしてこのような厚みを持った作品を私は古今東西この作品以外に知りようもない。
172メロン名無しさん:04/05/08 01:52 ID:???
上述した具体的意味内容のみでも群を抜く作品である事は十二分に伺いしれようが、夜勤病棟が至高――全ての作品の中で最高位に位置する――
所以はこれだけに留まらないからである。すなわち、いわゆるロリータから清純派、お姉さま、熟女、同僚など、あらゆるキャラが
ここには存在し、スカトロ、SM、コスプレなど、あらゆるプレイが存在するのだ。かつてこの種の性格を持った傑作にここまで潔く
エンターテインメント要素を盛りこんだ作品が存在したのを私は知らない。我々はこれを見せつけられるだに、とてつもないスケールを内在した
この作品に対して一層の畏怖の念を抱かざるを得ないし、また、だからこそ、手放しで賞賛せざるを得ないのだ。
我々は、もはや自覚的であるべきである。20世紀最大最後のアニメーションは夜勤病棟以外にありえず、また、これからもそれ以外存在し得ないであろうと。