ちょっと前のスレにあったネタなんですが、出しそびれて今ごろ投下です。
TOKYOPOPのCEO、スチュアート・レヴィ氏のインタビューの訳。
前フリの部分はインタビューの中身ともかぶってるんで省略してます。
軽くプロフィールに触れとくと、スチュアート氏はイタリア系アメリカ人で
1967年生まれ、UCLAの経済学部卒、ジョージタウン大学のロースクール
を修了、慶応大学に留学経験もあり、日本語ペラペラの人だそうです。
元記事
TOKYO POPのCEOインタビュー
http://www.japantoday.com/e/?content=executive&id=144 〇どうしてこんな頻繁に日本へ?
今は丁度日本での株式公開の準備があってどうしても度々来る必要があるんだ。
でもいつもは、来日中に日本のコンテンツプロデューサーやビジネスパートナーに会うのさ。
自分たちのマンガが英語でどうなるんだろうかと、彼らはいつだってナーバスになってるからね。
丁重に扱ってるってことを僕が彼らに保証しなきゃいけないんだ。
〇現在のマンガブームの背景にあるのは何だと思う?
いろんな要素が絡み合ってる。
何よりもまず、そのアートがティーンエイジャーや
子供たちといった若い世代の心にホントに響いてるんだ。
彼らはビデオゲームで遊びながら育ってきていて、そして
日本のゲームはもっともポピュラーなものの内にある。
マンガのアートスタイルはアメリカの子供たちがもう慣れ親しみ、
惹きつけられるものなんだよ。そして我々はそういう部分を
潜在的顧客の手に渡すよう、たくさんの時間とエネルギーを
使っている。
ファンがなかなか独力では見つけられないであろう類いの製品、
僕らはそれをただ運んでいるだけなんだ。
〇当初なにかマーケットの抵抗はありましたか?
最初に資金集めをしている時、あちこち回って人と話していて
言われたのが、
「どうしてアメリカ人が日本のエンターテイメントを求めるんだ?
アメリカ人にはハリウッドがあるじゃないか」
だった。
マンガが多くのハリウッドのエンターテイメントよりもクールなこと、
少なくとも違うフィールドにあることを説明するのは、本当に苦労
したよ。
アメリカにおいて、マンガを読む人のほとんどは、35歳より若い
場合だけど、夢中になってしまう。もう病み付きになってしまって、
次の巻が出るのを待ちきれなくなるんだ。
〇マンガとアメリカのアニメーションやコミックを比べてみてどうですか?
どんどん線引きが曖昧になってきてるね。最近、アメリカの
クリエイターは日本のマンガやアニメに影響されてきてるし。
2、3年前までは、その大きな違いは美術的なものだった。
はっきりとしているのは、日本のマンガは白黒であり、作家が
自分自身を表現する方法が、アメリカの作家が色で表現するのとは
大きく違っていることだ。アメリカの描線はより太く均一で、また
顔アニメをよくするが、日本の描線はもっとずっと繊細でエレガントだね。
もう一つの違いは、伝統的なアメリカンコミックはスーパーヒーローが
基本だけれども、日本のマンガにはあらゆる種類の分野や主題がある。
恋愛、ファンタジー、歴史、政治、スポーツなどだ。
〇テクニック的な面についてはどう?
マンガは確かにテクニック的にすごく進んでるとは言えない。
ただ私はそれがほんの少しばかり過去の話になり始めてると思う。
マンガはそれほど腕の良さが必要とされないような環境において
充分なぐらいの手仕事はなされているよ。
〇日本の作家達は自分たちのマンガがどういう風に英語で
示されているかについて心配してないの?
彼らは常にそのことを心配しているよ。
彼らはとてもデリケートで細部にこだわる。
マンガアーティストは恐れているんだ。
誰かが自分たちの作品をひどい解像度で出版するかもしれない、
翻訳が良くないかもしれないってね。
そして読者もそれを良く思わないだろう。
〇翻訳はどなたが?
いろんなところからフリーの翻訳者を使っている。
まさにバーチャルな(ネット上でやりとりする)ビジネスだ。
〇出版社とはどう提携を?
我々はどの大手のマンガ出版社とも良い関係を結んでいる。
基本的に、我々は彼らの全てからライセンスを得ている。
ロイヤリティ契約に基づいているので、タイトルがより多く
売れれば、より日本側も儲かる。
マンガは全て9ドル99セントの値段で売っている。
〇一番売れたマンガは何ですか?
今までで一番売れているのは"Sailor Moon"シリーズだ。
"Rave Master"も人気がある。我々は8月にカートゥーン
ネットワークで"Rave Master"を放映する。
〇マンガにおけるセックスと暴力についてのポリシーは?
確かに我々は暴力とセックスのあるマンガを出版している。
一般的に言って、日本のエンターテイメントはアメリカのものよりも
少しばかり暴力的でセクシャルな傾向にあると言うべきだろう。
TOKYOPOPではショップやバイヤーのために、全ての製品に
レイティングシステムを設けている。
18歳以上の読者向けの本はラップして、子供が読めないように
している。また我々はポルノは出版していない。
一日の終わりに、認可委員会を行っている。
がしかし、今のコミック本は子供やティーンエイジャー達が
それを読みたがるよう少しばかり極端な部分が無いといけない。
もしコンテンツが刺激的でなければ、売上げは望めないだろう。
少なくとも、我々の場合においては、子供たちにはテレビを見たり、
ゲームをやったりする時に感じる以上のものを読んでもらわないとね。
〇最新のマンガにどうやってついていってるの?
私が日本にいる時は、本屋や漫画喫茶に行ったりする。
またスタッフが絶えず新しい漫画を買って、コピーを
LAの私の元へ送ってくれている。
任意のタイトルの権利を買う前に、私が少なくとも一冊は読んで、
確かめるようにしている。
〇翻訳の方にもわりと関わっている?
最初の頃はやってたよ。しかし今はもうそれほど関わってない。
翻訳作業は楽しかった。
私はビジネスのコンテンツ(内容)の面に関わるのは好きだな。
〇コートニー・ラヴとの取り引きについてはどうですか?
コートニーとは"Princess Ai."というマンガを作るために協力している。
キャラクターはコートニー本人をモデルにしている。
コートニー・DJ・ミルキーが原作を書き、日本のアーティストが作画する
ファンタジーストーリーだ。
最初日本で出版し、それからアメリカでも出版になるだろう。
彼女は大変なマンガファンで、彼女から我々にアプローチしてきた。
〇あなたは出版の枠を超えて会社を動かしていますよね?
出版部門はプラットホームのようなもの。
それがあってこそ我々はさらなる成功のためにマルチメディアに展開できる。
"Rave Master"では、我々はテレビに進出でき、ハズブロ社と
キャラクター商品のおもちゃについて取り引きした。また我々は
アニメのDVDのラインも持っている。
〇TOKYOPOPには何人のスタッフが?
日本では東京に4人のスタッフを持ち、さらに今もう3人雇おうとしている。
日本のオフィスは買い付けのオフィスで、本社はロサンゼルスにあり、
マーケティング、販売、生産、財務、編集、マーチャダイジング、テレビ販売
で60人のスタッフがいる。
〇自分の時間は主に何をして過ごしてますか?
飛行機に乗っていない時は、コンテンツ開発やアートディレクション、
マーケティングや経営戦略に関わってるのが好きだね。
私がそれほど関わっていない分野は、販売流通と会計かな。
〇法律の学位が今まで役に立ってますか?
立ってるよ。私はもう契約書なんて見たくないんだけど、
不幸な事にこの仕事の大半がそれなのさ。
〇毎日マンガを読んでますか?
実のところ読んでない。
私は自分の頭を柔軟にして楽しませるようにしておこうと努めている。
インスピレーションのために音楽を聴いたり映画を観たりしているよ。
間違いなく一週間に7日は働いているしね。
〇くだけた格好してらっしゃいますよね。スーツは着ない?
スーツを着るのはごめんだな。
〇仕事上でどんな種類のことが頭に来る?
非効率と無秩序。チームとしてバカなミスを犯し、そこから何も学ばない
そういう時は頭に来るな。もしくは下手な金の使い方をした時。
他にって?交渉していて相手側の当事者が何かについて、フェアじゃない
とか、現実的じゃないのに、それでもまだ彼らが交渉を強いてくる時かな。
−−−−以上、訳おわり。