D.C.〜ダ・カーポ〜 ネタバレスレ(アニメ用)

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53ダーク路線で逝ってみますた
ツー、ツー、ツー・・・
「うにゃ? あれ? もしもし、美春ちゃん?」
突如切れる公衆電話。お金は十分に入れた筈なのに。
受話器台に目をやると、そこに何かが押し当てられている。
――――包丁。
ボクが振り向くと、音夢ちゃんが笑っていた。いつもと変わらない笑顔。
包丁が受話器から離れる。その先には彼女の姿。
包丁は、音夢ちゃんの手に握られていた。
「こんなところにいたんだ。家に居ないから探しちゃった」
「音夢ちゃん・・・」
「へぇ、もっと驚くと思ってた。さすが魔女」
冷たい声。言葉を紡ぐ音夢ちゃんの口は、やはり吊りあがったままだ。
「音夢ちゃん、もうやめよう? 今ならまだ間に合うよ。
お兄ちゃん達が、全部無かったことにしてくれる」
「それは・・・魅力的な相談ね」
包丁の切っ先が揺れる。自分は電話ボックスのなか。魔法はもう使えない。
逃げ場は、ない。
「ねぇ・・・私の相談も聞いてくれる・・・?」
「・・・何、音夢ちゃん?」
「魔法の力は無くなったんでしょ? なのに兄さん、私のこと見てくれないの。
あんたが掛けた魔法は消えた筈なのに」
54ダーク路線で逝ってみますた:03/09/24 04:43 ID:???
「ボクは魔法なんか・・・」
「嘘」
音夢ちゃんの口元が震える。笑みは、もう消えていた。
「兄さんがあんたなんか好きになる筈無いもの。あんたみたいな魔女」
震える声で音夢ちゃんは続ける。眼には、うっすらと涙が浮かんでいる。
「思ったの。兄さんの魔法を解くには、さくらが死ぬしかないんじゃないか、って」
包丁を構える。その先には、ボクの胸。
(あぁ・・・)
ごめんね、音夢ちゃん。ボク、音夢ちゃんの心を傷つけちゃったんだね。
音夢ちゃんの眼から、ぽろぽろと涙がこぼれている。
音夢ちゃんは、ボクにお兄ちゃんのことを諦めさせようとしているんだ。
ここで死ぬか、初音島から去るか、どちらか一つを選べと。
「・・・音夢ちゃん、ボクは魔法なんて掛けてないけど」
駄目。
「ボクはお兄ちゃんが大好きだよ」
これは絶対に譲れない。たとえ、ここで命を奪われても。
「・・・っ!!」
びくり、と、音夢ちゃんの身体が揺れる。その瞳に、憎しみの炎が燃え上がる。
「ぅ・・・うわあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!!!」
音夢ちゃんは泣きながら、ボクの肩を掴む。背中が電話機にぶつかる。
ボクの頭上に、包丁が振りかざされる。

さよなら、お兄ちゃん―――