アニメや映画の“委員会活動”って何
あずまんが大王製作委員会、サイボーグ009製作委員会、ナデシコ製作委員会、「座頭市」製作委員会――。
アニメや映画の著作権表記を改めて見ると、「製作委員会」という表記を多く目にする。
もちろん、この委員会は読者の多くが経験してきた学校の委員会活動とは全く別モノ。製作委員会とは、
いわば「特定の映像事業を推進する組合組織」であり、アニメや映画を制作するための「資金」を集めるのと同時に、
作品にかかわるさまざまなビジネスを推進していく組織なのである。
ここで素朴な疑問がわいてくる。「アニメや映画は製作委員会がないとつくれないのだろうか」――。
もちろん、そんなことはない。製作委員会は資金調達の1つの手段に過ぎない。
従来はこの方式こそがもっとも効率的と考えられていたから多用されていただけなのだ。
最近は、新しい「コンテンツファイナンス」が続々登場している。
その最前線の情報を、みずほ銀行ビジネスソリューション部の逸見圭朗次長に解説してもらおう。
(中村 均=日経キャラクターズ編集長)
テレビ年間7億円、映画一本3億円
ちなみに映像作品をつくるためには、どれぐらいの資金が必要なのだろうか。
アニメ製作を例に具体的に見てみると、通常地上波を媒体として放映されるアニメの場合は、
30分の作品当たり1000万〜1300万円程度の制作資金が必要になる。
番組は1クール(3カ月)を基準に編成される。1クールは13話分に相当。
従って、一年間(4クール)継続して放映する場合は52話分の制作資金が必要になるわけだ。
実際の金額で言えば5億から7億円程度である。一方、アニメ映画の場合は一般には1〜3億円程が主流。
ただし、ジブリ作品や『イノセンス』『スチームボーイ』などは十数億〜20億円規模に達する。
マクロ的で見ると、この「制作資金」をベースにした作品から二次的な著作権が発生し、
それを利用した商品やサービスなどの最終市場は1兆円を超える規模になるわけだ。
なかなかダイナミックなマーケットと言えるだろう。
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