ではその小冊子に載っていた『佐藤監督からのメッセージ』をうPします。
佐藤監督からのメッセージ
ハジメは前を見据える人。足取りも軽く、楽しげに歩く。彼の見つめる先は、
地平線の更に向こうの空の果て。
那由多は上を見上げる人。まばたきもせずに空を見つめる。当然目は乾き、
涙が流れる。しかし、誇りと勇気が彼女を支える。
ムリョウはそんな二人をはげまし支える優しい風。
『学園戦記ムリョウ』は表題に反して統原無量君が殆ど活躍しません。ごく
たまに宇宙に行ったり圧倒的なチカラで敵を倒したりするけれど、基本的には
みんなの輪の端っこで微笑んでいるだけ。だけどそれは無視されているのでは
なく、ムリョウだから、ムリョウとはそういう人だからという感じで皆あまり
気にしていません。当の本人もそう思っている……現代、或いは未来を舞台に
、いわゆる“神さま”を話の中心に据えた作品を作ってみたいと思ったのは学
生時代、法社会学の講義中。神、といっても権力のシンボルではなくて、自然
や道徳、僕らを包む空気のような存在としても神。最終回において、ムリョウ
自身がわずかにそれを匂わす台詞を言っていますが、おそらく彼自身も自分が
何者かははっきりわかっていません。だからこそ、それこそがムリョウのムリ
ョウたる由縁。決してストーリーを引っ張るわけではないのにもかかわらず、
ハジメや那由多、京一達の中にはムリョウに対する思いにあふれている。神と
人が共生するならばおそらくこんな関係が清々しい。ムリョウやハジメ達は正
体も何も関係なく、青春を共に過ごす少年少女なのだから。
とは言え然は言え、いろいろ原作者がご託を並べたところで、TVアニメは
放送されたものが全て。エスパー戦士としてのムリョウの活躍、サイキックバ
トルなアニメーションを期待していた方は随分テレビの前で肩すかしを食らっ
たかと思います。まぁ、イベントを性急に消化するだけがシリーズではありま
せんし、こういうドラマの描き方がもあるということで心安らかに見て下さい(笑)。
本放送が終わってからは、ビデオや再放送で改めてお目に掛かることになる
かと思います。全26話、これらを通じて70年後(正確には68年後)の未来の世界
観、天網市という架空の街に住む人々の“思い”といったものは十二分に描け
たと思います。何だか分からないけど面白かった、雰囲気を楽しんだという方
はもう一度ご覧になって見て下さい。とにかく噛めば噛むほど味が出るアニメ
です。女の子達も男の子達も、おじさんおばさんお年寄りまで実に味のある
キャラばかりですので、ヨロシク!
以上です。
ちなみにこの冊子、2002年1月15日発行になっていました。
時期的には、アニメが終わってコミック最終巻が出る前で、DVDは5巻が出た後です。
小説版が出るという告知もコレが一番最初だったような。
他には、カレンダーやUFOキャッチャーのぬいぐるみ商品の紹介も載っていました。