読売新聞のアニヲタ記者(福)氏の記事を見守るスレ

独立ＵＨＦ局、連携強化

新作アニメ 複数局で放送

　独立ＵＨＦ局のアニメ番組と言えば、少し前まで
過去の作品の再放送が当たり前だった。ところがこ
のところ、新たに製作され、テレビでは初めて流れ
る作品が、深夜を中心に続々と放送されている。ア
ニメ以外でも、連携を深める変化の様子を探ってみ
た。　　　　　　　　　　　　桜井　学、福田　淳

深夜枠中心、斬新性にも富む

　ＴＶＫテレビ(神奈川)、千葉テレビ、テレビ埼玉の
独立Ｕ局では現在、「ストラトス・フォー」や「らい
むいろ戦奇譚」、「ガンパレード・マーチ」など数本
の新作アニメが、それぞれ日時は異なるものの深夜に
放送されている。
　こうした深夜アニメの先駆けはやはりキー局で、一
九九五年の「新世紀エヴァンゲリオン」(テレビ東京)
の大ヒット以来、目だってきた。ソフトメーカーなど
を中心に数社が出資して製作委員会を作り、局から番
組枠をまるごと買い取って作品を放送。後日、ＤＶＤ
などのソフトや関連商品の売り上げ、海外への販売な
どで制作費や宣伝費を回収し､利益を上げる仕組みだ｡

　しかし､｢アニメはもうかる」と考えた出資企業の増
加とともに作品数も増え、枠の確保が難しくなる一
方、キー局は深夜帯と言えども放送するには比較的費
用がかかるため、視聴者層を絞り込んだ作品は流しに
くい。そこで、予算的にも負担の少ない独立Ｕ局に目
が向けられたという訳だ。
　「ストラトス・フォー」を手掛けるバンダイビジュ
アルの杉山潔プロデューサーは、「Ｕ局とは言え、ケ
ーブルテレビでも見られることを考えると相当のエリ
アをカバーでき、費用対効果は大きい」と話す。

　さらに、「ストラトス・フォー」は兵庫、三重の独
立Ｕ局やＣＳのキッズステーションで、「らいむいろ
戦奇譚」は全国各地のテレビ局計十三局で放送される
など、限られた予算内で少しでも視聴機会を増やし、
ソフト販売に結びつける戦略が採られている。
　また、四月から神奈川、千葉、埼玉の三局で放送予
定の「成恵の世界」は、準キー局の毎日放送（大阪）
が製作委員会に出資し、同局と中部日本放送(愛知)、
キッズステーションでも放送されるなど、新たな形態
も登場してきている。

　これに加え、独立Ｕ局で放送する利点として、作品
内容に制約の少ないことが挙げられる。「キー局によ
っては話の流れを考えずに、機械的に、『この表現は
だめ』と言われることもある」と、ある製作関係者は
指摘する。
　こうした表現の自由の大きさが、現状では｢お色気｣
方面に偏り気味のきらいもあるが、既成の枠にとらわ
れない斬新な作品が生まれる土壌にもなり得ると言え
るだろう。

　一方、放送する独立Ｕ局の側も、受け身に徹してい
るだけではない。千葉テレビの長沼正弘編成部長は、
｢深夜帯の中でも､キー局がニュースなどを流している
二十四時台を中心に編成している｣と狙いを説明する｡
　テレビ埼玉やＴＶＫも、以前から通好みのアニメ放
送に力を入れており、一部のファンから注目されてき
た経緯から、こうした作品が視聴者に受け入れられや
すい一面もある。

　「らいむいろ戦奇譚」　日露戦争時の架空の日本。新太
郎は礼武隊の５人の乙女たちと戦艦天乃原に乗り込み、教
師､そして隊長として､敵と戦いながら旅順要塞を目指す。

　「ストラトス・フォー」　無数の彗星が落下し
てくるという空前の危機に見舞われた未来の地
球｡美風ら４人の少女たちは､彗星迎撃機のパイ
ロットになるべく訓練を受ける。

　「成恵の世界」　ちょっと気弱な中学生・和人
が告白した隣のクラスの成恵は、宇宙人と地球人
のハーフだった。２人を中心に。騒々しくも楽し
い日々が展開していく。