●赤い千尋、再び。
アメリカでは映画賞を三連続受賞、日本ではDVD問題
で裁判。「千と千尋の神隠し」の話題は、暮れになっても
あれこれとかまびすしい。しかし、やはり気になるのは、
なんといっても裁判沙汰にまでなってしまった赤い千尋
の一件である。
結局、この問題、多くの人が感じている「あの宮崎駿監
督が、なぜ、こんなにいさぎよくないんだ」という一種裏
切られたような思い、これがすべてではないのだろうか。
宮崎監督、口では威勢のいいことを言っている。無気力
な子供たちがゲーム漬けでどうのこうのとか、いまの日
本はひどいとか、批判やメッセージをいろんな形で流し
ている。でも、それはみな口先だけのことだったんだね。
誰が見ても色が不自然になっているDVDに対し、ご本人
が堂々とクレームに答えている姿をわたしはいまだ目に
していない。わたしが読んだのは、ブエナビスタエンター
テインメントの「いままでのマスタリングの手法とはまっ
たく違ったプロセスで製作されており、このクオリティが
最高のものと認識しております」というコメントと、スタジ
オジブリがだしたという「劇場公開時に一番近い色です」
という意味不明のコメントくらいじゃないかな。ネットで検
索しても、監督自身の見解が不自然なくらい、どこにも
ないんだよね(鈴木敏夫プロデューサーの談話らしきも
のはあった。内容はジブリのそれと同じ)。「最高のクオ
リティ」だと言いきるのなら、宮崎監督自身の肉声で、そ
れを言いきってほしかったなあ。それとも、監督をこの件
で表にだせない理由が何かジブリにあるんだろうか。な
いよね、ジブリさん。
というわけで、次回作の発表もあったことだし、ここらで
ぜひ宮崎駿監督のご出馬を強く希望したい。本当に日
本版DVDの色が最高のものと言うのなら、胸を張って
世間にでてきて、糾弾する人たちと対決するのが最善の
方法である。そして、語ってほしい。日本版が最高だと
言い張っているのに、どうしてフランス版で色合いを変
えてしまったのかとか、映画館で料金を支払って見た人
たちに、最高でないクオリティの作品を見せたわけとか、
そういった疑問についての率直な回答を。いまのままだ
と、「なんだ、宮崎監督も、某利権政治家や某ハム会社
、某銀行あたりと根は同じだったんだね。表では理念や
正義をかっこよく語っているけど、自分に火が降りかか
かってきたら、知らんぷり。口をつぐんで、騒ぎが下火に
なるのを平然と待っている」などと言われかねない。そ
れは、アニメファンも一般の人もいやだろう。わたしだっ
て、仮定のこととはいえ、こんなことを書くのはとても心
苦しい。そろそろ潮時。監督、出番ですよ。とっととでて
きてください。