【あずまんが大王】よみ&とも【Best Friends】

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942メロン名無しさん
21.接触

「あのさ・・・みんな」
みんなの視線がぐさぐさ突き刺さるのが分かった。
「えっと、あの・・・」
散々ノドをしぼって出た言葉が・・・
「みんな、これからどうする? なんかお腹空かない?」
あはは、と笑いながらそんなようなこと言ってた。
「よみちゃん、相変わらず食いしんぼさんやなー」
「おい、相変わらずってどういうことだ」
「・・・そういえば、もうお昼だな」
榊が病室の時計を見ながら言った。
「じゃあ、みんなでどこか食べに行きましょうか」
「よし! 行こー!」
「ゆかり、あんたは寝てるの」
ゆかりちゃんとみなも先生が、またなにか言い争ってる。病院食だけじゃ死んじゃうわよー、だとか、病院食は健康にいいのよー、とかそんな内容だった気がするが、私は半分も訊いてなかった。
自分の情けなさに、世界が遠ざかっていくようだった。
結局、私は適当なことで自分を納得させて、このわけの分からない恐怖感をみんなと共有したかっただけのだ。単なるなすりつけだ。
それ以上に、みんなに信じてもらえないことが怖かった。結局、大騒ぎしているのは自分だけではないのか。
暴れるゆかりちゃんを置いて、神楽の知ってる安くてうまい和食店に行った記憶も、半分くらいしかなかった。

駅の3番線ホームのベンチに座りながら、私の気持ちは沈む一方だった。
手紙もメモリースティックも、忘れてしまうのも、一つの選択肢だと思った。しかし、なにかが私の中で、その選択肢を選ぶことにブレーキがかけている。
もう、3本くらい電車を見送ってると思う。
突然、
「暦さんですね」
後ろのベンチに、背中合わせに座った誰かが声をかけてきた。知らない声だった。
「瀬野です」
意識が一気に急浮上した。振り向こうとした私は、彼の声がさえぎった。
「よく訊いて下さい・・・」
私は息を飲んだ。
「今すぐ、日本から逃げてください」