【あずまんが大王】よみ&とも【Best Friends】

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933メロン名無しさん
>>932 ほのぼのでないかもしれないけど、どうぞ

あずまんがcollege番外編(高校時代の布団SS)

宿題の最後の問題を解きおわった少女は、勉強机の上にある、風船を持った少女が
描かれている置時計をちらりと見た。既に午後11時を回っている。軽くあくびを
して、彼女は常用の眼鏡を外した。
急に眠気を覚えて、部屋の電気を消すために立ち上がろうとした時、机の隣にある
窓から、叩きつけるような音が数度響いた。
思わず視線を窓に向けると、毎日見慣れている顔が窓越しに映っている。
慌てて駆け寄り、窓を開けてやると、靴を片手にもった少女がはいあがってくる。
「どうしたんだ、こんな夜中に…」
智と呼ばれるショートヘアの少女は、最初は怒ったような表情をみせていたが、
すぐに自嘲するかのような笑みを浮かべた。
「いや〜親とケンカしちゃってね〜」
意外なほどあっけらかんとした口調で話す。
「おい、だいじょうぶか?」
「ま…そういうことで、悪いけど泊めさしてくれ」
言い終わると智は、部屋の中央に敷いてある布団に潜り込んだ。
934メロン名無しさん:02/10/05 06:09 ID:???
「いや〜やっぱり布団はいいねえ〜羽毛かな」
智の家ではベッドを使用しており、彼女は布団特有の柔らかい感触が珍しいようだ。
「そんなに布団がいいか?」
ちょっとあきれた暦は呟き、細い紐を引いて電気を消した。そして智に占領されて
いる布団に潜り込む。
「なんでいきなり消すんだよ〜」
いきなり周囲が真っ暗になった智は頬を膨らませる。
「なんでって?、今から寝るんだよ」
少し冷淡な口調で突き離した暦は、大きな枕を智から奪い取って横になった。

「じゃあ私も一緒に寝る〜」
「ばっばか」暦は顔を真っ赤にしている。
「なんで、そんなに興奮する? …もしかして」
智は人の悪い笑顔を浮かべる。
「よみさんはえっちですな〜」
「う…うるさい!」
勘違いを容赦なく指摘された暦は、智の視線から逃げるように背中を向けた。
それっきり一言も喋らない。時計の針の音だけが、無機質に時を刻んでいる。
935メロン名無しさん:02/10/05 06:10 ID:???
どれくらい、時間がすぎたのだろうか…。
「ごめん…」
後悔した智は小さな声で謝る。
その声に、愛おしさを覚えた暦は体の向きを変えて、智の瞳を正面からみつめる。
「仕方がないな」
暦はくすっと笑い、いつも悪戯を考えていそうな、くりくりとした瞳をのぞきこむ。
(こいつ、こんな表情している時はかわいいんだけどな)

「よみ…」
智は甘えた声を出す。
「なんだ?」暦は優しく問い返す。
「私たち卒業しても、ずっと一緒だよね…」
少し寂しそうな表情を見せて、確認を求める。
「ああ…一緒だよ、ずっと」
暦は軽くうなずいた。例え二人の進路が異なったとしても、いつも心の奥では
つながっている。会いたい時には心の中であえるのだ。
すごく楽しい気分になった暦は、智の顔をもう一度覗き込むと、いつの間にか
可愛らしい寝顔をみせて眠りの世界に陥っている。
静かな寝息をたてている少女にゆっくりと近づいた暦は、彼女の柔らかい頬に唇を
のせた。
今夜はきっといい夢を見ることができるに違いない。
「おやすみ」
暦は一言だけ呟いて、瞼を閉じた。