【あずまんが大王】よみ&とも【Best Friends】

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902メロン名無しさん
前々回は>>407-409 前回は>>843-845
あずまんがcollege2−13
7月17日午後0時30分
近江舞子

「よみちゃ〜ん」
少し間延びした声が鼓膜を揺らす。
心地よい眠りの世界から追い出された暦が瞳を開くと、ピンクのワンピースの
水着姿が映った。輪郭がにじみ出し、ぼやけて見えている。
2、3回瞬きをした後、ゆっくりと半身を起こしながら、傍らに置かれた眼鏡を
かける。
明快になった視界には、彼女の目線にあわせてしゃがんでいる少女の姿が
はっきりと映った。湖水に濡れた黒髪から生み出された水滴が、夏の陽光を
乱反射させながら、次々と地面に落ちている。
「あ〜大阪か」
まだ少し眠気が残っているようだ。
「はい、ジュースやねん」
少し危なっかしそうな手つきで山吹色の液体が入った紙コップを手渡す。
「ああ、ありがと」
渡されたオレンジジュースを一気に半分ほど飲み干すと、頭が幾分かは
鮮明になってくる。それとともに、元気すぎる少女の姿が見えないことが
気にかかってきた。
903メロン名無しさん:02/10/04 23:30 ID:???
「ともはどうした?」
何気ないそぶりで尋ねる。
「ナンパされたねん」
「へっ?」
大阪が平然とした口調で言ったため、一瞬何のことか分からず、きょとんとする。
しかし、一瞬後には鋭敏といわれる頭脳が回転し、紡ぎだされた言葉の重大性を
明確に認識する。そして素早く立ち上がり、周囲を懸命に見渡すが、智らしい
水色の水着姿はどこにも見えない。
「うそや」
「なっ」
絶句した暦は無言のまま大阪に近づくと、黒い髪の上に強烈な手刀を叩き込んだ。

「いたいいたい」
両手で頭を抑えながら大阪は屈み込む。
「朝にもおばちゃんにはたかれたんやから、堪忍してや〜」
「自業自得だ!」
寝ぼけて包丁を持って起こしにきた大阪に、危うく現世から抹消されそうに
なった今朝の恐怖体験を思い出して、容赦のない言葉を浴びせる。
「ほんとはな、シャワーを浴びにいったんや」
大阪はいつのまにか、のんびりとした表情と口調に戻っている。
痛いという感覚は既に忘れてしまっているようだ。
「そっそか」
暦は安堵のため息をついて彼女の顔を見つめなおした。数秒の沈黙が流れた後、
大阪はゆっくりと口を開いた。

「よみちゃんってともちゃんのこと好きなのん?」