【あずまんが大王】よみ&とも【Best Friends】
6.居酒屋にて(4)
妙な沈黙がおりた。
「なんや大学でともちゃんはどうだったって、そんなことばっかり訊かれたわ」
「本当にそれだけか? とものことだけ?」
神楽が呆然と尋ねた。
大阪が頷いて、
「なんかともちゃんと連絡とってたみたいなこと言っとったわ。それよりな、ホンマに驚いたのはな、ちよちゃんの2倍くらいあるデッカイ黒人の人つれてたんよ」
さりげなく大阪ワールドが展開した。
「はいはい」
「いや、これはホンマやで。なんかちよちゃんが手招きするとな、デッカイ図体かがめて耳貸すねん。そんでなんか英語でぼそぼそ言っとった」
「それで?」
「後は、二人とも白衣着とったわ。白衣ゆうても、看護婦ちゃうで」
「それは分かってるよ。いつ日本に戻ってきたのかとか、連絡先とか、そういうこと聞かなかったのか?」
「訊くこと訊いたら、さっさと帰ってもうたわ。5分もおらんかった」
白衣を着たちよちゃんが、身長が2倍もある黒人を引き連れて、大阪の勤め先を突然訪れ、大学時代のともことを訊いて5分で去ってしまった。
奇妙な話しだった。
奇妙すぎて、どこから考えていいのか分からない。
7.居酒屋にて(5)
大阪が唐突に、
「ちょっとだけやったけど・・・」
なんだか、いつもとは違うトーンで語った。
「昔と変わらない、ちよちゃんやったわ」
大阪のその一言だけは、正確に真実を語っているものだと思った。だとしたら、どうしてちよちゃんは私たちに連絡も取らず、ともの事を大阪に聞いたのだろうか。
ともは、ちよちゃんはどうして二人で連絡を取っていたのだろうか。
ともは、本当は・・・
「よし! 飲もーッ!」
私は叫んだ。
「わ、なんや突然」
「いよっしゃーッ! 飲もー!!」
「静かにしてよ。カズが起きちゃうだろ」
「私、から揚げ頼もうかな」
「・・・私はサラダを」
今日は飲もう。飲んで、酔っ払って、忘れてしまおう。それが一番いい。
しかし、現実は私に目をそらすことを許さなかった。
次の日、ともからの手紙が届いた。