【あずまんが大王】よみ&とも【Best Friends】

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527メロン名無しさん
4.居酒屋にて(2)

「大阪は?」
私は、先ほどからウーロン茶をちびちび飲んでる大阪に話を振った。
「うちも、ぼちぼちやでー」
語尾が少し間延びして、顔もちょっと赤い。こいつは店中に充満するアルコールの匂いだけで酔ったらしい。
大阪は市役所に勤めていると訊いた。それから特に浮いた話しも聞かず、今日会ってみても高校時代からどこも変わった様子が無い。やっぱり大阪だ、と思った。
「よみちゃんは、どうなん?」
「わたしも・・・ぼちぼちかな」
私はと言えば、大学を卒業して旅行代理店に就職した。そこの職場で今の夫と知り合い、2年付き合って結婚した。長男の勇気(ゆうき)が4歳で、昨年長女の裕香(ゆか)が生まれた。
「お〜う、あんたたち飲んでる〜」
ゆかりちゃんの魔の手が迫ってきた。
「ゆかり、またあんたは飲みすぎよ」
なれたようにみなも先生が言った。
「別にいいじゃない、こんな日ぐらい」
ゆかりちゃんのこの何気ない一言が、今日がともの葬式であることを思い出させた。
ともが死んだ。こうして葬式まで体験してしまうと、逆に実感に乏しいものだ。まるで近所のおばさんの葬式にも参加したようだった。新聞に貼り付けられていた顔写真と『死亡』の記事を見たときが、一番実感があった。ああ、死んだんだ、って。
小学校から続いた腐れ縁だったのに、大学を卒業すると、途端に途絶えてしまった。日々の生活に没頭されて、そんなことにさえ気づかなかった。
今日が終わるとすぐに明日がやってきて、明日が来るとすぐに今日が始まる。初めて実感したその速度に追いつくのがやっとだった。
高校生の時は、あいつと一緒にいた時は、そんなこと考えなくともやっていたはずだったのに、
あいつは・・・ともはどうだったのだろうか・・・
「そういやー、ちよすけが見当たらないわね〜」
焼き鳥の串で歯の間をしーしーしながら、ゆかりちゃんが言った。
「美浜さん海外でしょ。忙しいんじゃない」
ゆかりちゃんとの会話においてみなも先生の間の置き方は完璧だ。これをホントの腐れ縁と言うのだろう。
「だれか連絡取ってるやついないの〜」
「私は手紙貰って以来だな。よみは?」
「私もだ。榊は?」
榊は静かに首を振って、視線を大阪に送った。
「うち、この間おうたで〜」