【あずまんが大王】よみ&とも【Best Friends】
前回は智スレ3の<588〜<591
あずまんがcollege2−9
7月17日午前4時
京都市内
「う〜ん」
暦と呼ばれる少女は眼を覚ました。庭先から微かに虫の鳴き声が
聞こえている。彼女はいつもと異なる布団の感触に微かな違和感を感じて、
軽く首を振った。まだ夜は明けてはいなかったが、窓際からは微かな
月光が漏れ、和室の障子がぼんやりと浮かび上がっているのが見えた。
「そっか…」
暦は自分が、京都にある大阪の叔母さんの家に泊めてもらっていることを
思い出した。
彼女は上半身を起こし、眠気の残滓を振り払うかのように軽く
伸びをした。それから、周囲を回してみると、すぐ隣にす〜す〜と
寝息をたてている智の姿が見えた。しかし周囲は暗く、暦自身も近視で
あり、彼女の表情はよく分からなかった。
暦は暫くぼんやりと智の姿を眺めていたが、ふと思い出したかのように、
枕元に置いてある眼鏡ケースを探り当て、やや古いフレームの眼鏡をかけた。
「とも…」
小さく呟きながら、智の寝顔に顔を近づけた。暦の鼻腔に、幾分長くなった
ショートヘアから発散される、微かに甘い香りの微粒子が飛び込んできた。
いい夢をみているのだろうか、寝顔はとても幸せそうにみえた。
「よみ…」
智の口から微かな寝言が微かに漏れた。
(私の夢を見ているんだろうか、夢の中でも暴走してるんだろうな)
暦は自分の想像にくすりと笑った。
「のばか」
(…どんな夢みてやがるんだ)
暦は智の寝顔をにらみつけたが、智は無邪気な寝顔のままだ。
「ともの莫迦」
軽く頬をつついてみる。つややかなほっぺたは弾力に富み、暦の指先を
柔らかくはじき返す。
「ん〜むにゃ」
智は軽く呟き、もぞもぞと体を動かした。そんな仕草を見つめていた暦は
普段は豊富にある自分の理性が急速に失われているのを感じていた。
(ほしい…)
暦は吸い込まれるように、智の唇に近づいていった。
智は夢をみていた。
高校の制服を着た自分がいる。
席の隣に暦がいて、周りに大阪やちよちゃんもいる。
彼女達と楽しく騒いでいるいつもの情景が、智の無意識下に再現されている。
不意に場面は切り替わり、学校の屋上で暦のほしがるやきそばパンを、
智が全部食べてしまった光景が脳裏に浮かんだ。暦は怒り出し、智のほっぺたを
両手でつねった。やわらかい違和感を自分の頬に感じた。
怒った表情を見せた暦は、
「おしおきだっ」と叫んだ。
「はあっ?おしおき?」智が思わず問い返す。
「そうだ、おしおきだ」
にやりと笑った暦は弾力のある体を使って智の上にのしかかり、
智の両手をつかんだ。
「なっなにするんだ…」
智は慌てて体を左右に振り、暦から逃れようとする。しかし、
暦の力は強くほとんど動くことができない。
「おしおきとして、キスをする…」
言い放った暦は、身動きのできない智に近づき、彼女の顔に覆いかぶさった。
柔らかな感触を口元に感じて、智は夢の世界から追い出された。
「えっ?」
智は大きく目を開いた。至近に暦の顔がある。そして自分の唇が塞がれている。
「なっなに」
頭が混乱する。いったい暦は何をしている?
智が眼を覚ましてしまったことに驚いたのか、暦は智の顔から離した。
そして、彼女の眼をしっかりと見据えて言った。
「すきなんだ…とも」
「へっ私のこと?」
頭がまだうまく動かない。しかし、痛いほど鋭いまなざしが智の瞳に
飛び込んでくる。
「よみ…」
「大学に行ってから、智に会えなくなって苦しかったんだ」
珍しく感情をあらわにして、重い想いの塊をはきだす暦の姿に、
智はただ驚いていた。
「智と一緒に暮らすことのできる大阪が羨ましくって仕方がなかったんだ」
(さびしかったんだな…)
智は大阪と一緒に暮らすことによって、楽しかった高校生活を懐かしがる
感情を経験しなくてすんでいた。しかし、暦は一人だった。とても寂しく、
せつなかったに違いない。
「ごめんな、よみ」
温かいまなざしで暦の眼差しを受けとめ、春の日だまりのような
微笑みを浮かべた。
暦は、自分のあふれでる感情を抑えきれなくなったのか、
智の上に覆いかぶさり、もう一度彼女の唇を塞いだ。
智は敢えて暦の行為に逆らわず、彼女の想いと唇を正面から受けとめた。
(今日は付き合ってやるよ…よみ)
暦は最初に、やわらかい智の唇の感触を充分に味わった。
その後、暦の舌は彼女の口腔内への侵入を開始した。
「ん…んぐっ」
体に痺れるような感触を覚えた智は微かに声を漏らす。
その声に刺激されたのか、暦は彼女の舌を捕らえた。そしてざらざらと
した感触を味わいながら、ゆっくりと撫で回す。
「くう…っ」
体の芯に焼けるような痺れを覚え、智は喘ぎ声を抑えることができなく
なっていた。弾けるような彼女の反応に、暦はたまらなくなって、
自分の体を密着させる。そして焼けるように火照っている体温を全身で
受けとめる。
更に、暦は智の口を塞ぎながら、自分の右手を高校時代と比べてやや
ふくらみの出てきた胸にパジャマ越しに手をあてた。智の心臓が激しく
鼓動しているのが感じられる
「智…」
智の胸の先端の突起物を軽くつねってみる。
「いやっ」
軽く拒絶の喘ぎ声をあげながら、体をよじる仕草に嗜虐心を覚えたのか、
暦は智のパジャマをたくしあげる。彼女の視界には、白いつややかな肌が
飛び込んできた。軽く脇腹のあたりを触ってみると、弾けるように
智の肢体が跳ねる。
暦は自分がとまらなくなってしまっていることを、脳裏に僅かに残っていた
理性が感じ取っていた。しかし、圧倒的に優勢を誇る欲望という感情が、
普段の冷静さを取り戻すことを阻んでいる。
理性を弾け飛ばした暦は、自分の顔を智の胸に顔をうずめ、
みずみずしい張りのある皮膚の感触を頬で感じとる。そして、
わずかに顔を起こし、大きいとはいえないふくらみを軽く眺めた後、
上端にある突起物に口を含んだ。
「あうっ」
敏感に反応する、智の反応を確かめながら、自分の舌端を使い、
なでまわすように回転させる。暫くその感触を楽しんだ後、
暦は歯をあて、かるく噛んだ。
「きゃうっ」
智は暦の容赦のない攻撃に体と脳が痺れ、つめを彼女の背中につきたて
たまま動けないでいる。暦はもう一度、喘ぎ顔を見ようと
視線を上に向けた。
「う〜ん」
同じ部屋の別の場所から、微かな声が漏れた。
この部屋にもう一人住人がいることに、今になって気が付いた
智と暦は、「はっ」とした表情を浮かべて、あわてて密着した体を離した。
そして、そのまま体を固くして佇む。
幸いにして、もう一人の少女は軽く寝言を言っただけで、起きだす気配は
なかった。しかし、二人はなんとなくばつが悪くなり、体を離したまま
自分達の布団にもぐりこんだ。
周囲は静寂が支配しており、暦には、激しく鼓動する自分の心臓の音を
痛いほど耳にするだけだった。
暫くして隣の布団から微かに声が漏れ出してきた。
「おやすみ」
「おやすみ」
反射的に返事をした暦は、静かに眼を閉じた。
東の空は白みはじめ、小鳥のさえずりが何処からもなく
聞こえ始めてきた。