ヨーロッパの剣は…

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632星のお城
 これまで、要塞の基本的構造は主に垂直型であった
 高い位置から見下ろし、射ち下ろすことの優位は計り知れなかったため、
高い城壁を築き、櫓を多数設けることにより、防御のもつ優位性を高めようとしていた
 しかし、構造物が砲兵に対して無力であると解ると、要塞の構造は水平型へと
変化することになった
 城壁は、砲弾の直撃を受けやすい垂直面を極力小さくし、さらに耐弾性を高めるため
低く分厚くなり傾斜がつけられるようになった
 低く、敵兵が超越し易くなった城壁を守るために側射が積極的に採用され、
突角部を突き出させて城壁に取りつく敵兵に十字火力を浴びせることが
できるようになった
 また、砲撃目標となる背の高い建造物は一掃され、弾薬庫や待避所といった
重要施設は地下に構築されるようになった
 結果、イタリア式築城術で建設された要塞は、五茫星や六茫星等の星型の形を
取るようになる
 この手の要塞は再び防御側の優位を取り戻し、攻略期間は前世紀の平均値であった
約3ヶ月間まで戻り、この数値は17世紀まで続くことになる

 しかし、イタリア式要塞の経済に対する影響は無視できないものとなった
 イタリア戦争末期、シエナ市は1553年にイタリア式築城術により
領内の要衝17カ所に要塞の建造を着手したが、1554年、スペイン軍が侵攻して
来た時、シエナは築城のための経済的負担で破産しており、工事も中止されたままで
スペイン軍の力攻により1555年に降伏した
 確かにイタリア式築城術は大砲に対して防護を提供したが、
それは従来の垂直型要塞とは比べものにならないコストを強要し、
それを実現させることの可能なものに対してだけだった


そんだけ