ギリシアのファランクスは、平地での戦闘において圧倒的な攻撃力を誇ったが、
突発的に発生する戦闘に対応するには重過ぎた
そして、ファランクスにはそのような時に助けてくれる頼りになる兵科が
存在しなかった
ファランクス戦術の成功するための条件は、常に攻撃をかけ、前進し続ける
ことにあったからだ
テルモピュライにおいて、圧倒的な量的劣勢下にあったスパルタ軍が組織的戦闘力を
喪う最後まで突撃を繰り返した理由はここにあった
そして、足を止めたが最後、ファランクスは虐殺の対象となった
ギリシアの敵は、ファランクスの突撃のエネルギーを喰い止め、
吸収する方法を模索し、実行していった
同じファランクスを編成してぶつける、障害物で足を止める、戦力を発揮できない
状態の時(行軍時など)に襲撃を繰り返す方法は大きな成果を上げた
ファランクスを救い、その攻撃力を十分に発揮させる最も効果的な方法は、
他の有力な兵科を編成してファランクスを支援することだった
マケドニアの放蕩息子の不幸な父親は、騎兵と投射兵を編成し、
ファランクスを敵の脅威から守り、ファランクスが攻撃目標に専念できるようにした
騎兵と投射兵が敵の隊列を崩すことが期待できたため、マケドニア式ファランクス
の槍は、機動力の低下を代償に更に長くなった
また、マケドニア式ファランクスは、敵と衝突しても最後まで前進し続ることを
要求されなかった
そのような時は、騎兵と投射兵たちが敵を消耗させることが出来た
結果、マケドニア式ファランクスはギリシア式に比べ、より防御的性格が
強化されることになる
マケドニアにおいて、ファランクスは戦場に君臨する無敵の怪物から
様々な兵科と連携して戦う巨大な戦争機械の部品となった
その有効性はギリシアの都市国家間の戦闘で実証され、やがて息子の手によって
アジア世界で猛威を振るうことになる
そんだけ