ヨーロッパの剣は…

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582槍こそ我が勝利
 槍を隙間無く並べれば敵の攻撃を防ぎ、更に圧倒でき、
そして、槍を持つ兵士の数が多ければ多い程恐るべき殺傷力を発揮できることは
かなり前から知られていた

 多くの時代の多くの軍隊がこのスタイルを採用し、洗練させ、戦術の中核として
位置づけていた
 歩兵の密集陣は、通常、正面に対して圧倒的な戦闘力を誇るが、側面と背面に対して
致命的な弱点を有していた
 指揮官たちがその弱点に気づいていなかった訳ではなかったが、
それ故に密集陣を放棄しようとはせず、戦術と隊形、訓練を洗練させることにより
克服できると考えていた
 誰もが考えつく全周陣は、戦力の分散と機動力の放棄を意味していたため
脱出の希望が失われた完全な被包囲戦以外ではほとんど採用されなかった
 密集陣同士の連携と相互支援、防御の肩部となる地形上の要点の確保、
障害の構成、そして例外的ながらその戦闘速度を活かし、
更にそれらを連携させることにより、常に最も脅威となる敵をその正面に
捕捉し続けることはある程度可能だった

 勿論、側背への攻撃は全ての指揮官が希求し追求したものだったが、
敵の指揮官が案山子ではなかった以上、そう簡単に実現できるものではなかった
 実際、戦場で損耗した歩兵密集陣は、側背を衝かれて壊乱した事例より、
正面からの敵の打撃を受け止め、遂に消耗して力尽きた事例のほうが
圧倒的に多い


そんだけ