574 :
槍と鉄の怪物君:
一度ファランクスが敵のファランクスと衝突したならば、
槍や短剣を振り回せる余裕はない程密集するため、
戦士達は僅かな隙間に槍を押し込み、可能ならば敵兵に槍の狙いを付けて
遮二無二押し続けることが要求された
熱狂と獣性だけが支配し、先に気力が尽きた方の生き残った兵士が敗走し始める
まで続いた
このため、ファランクス戦術の戦いの損耗は極めて大きかった
ファランクス戦術は、戦士達の最低限の規律と旺盛な士気、高い団結心に依存した
戦術だったために戦闘訓練は単純で、隊形を保った行進訓練と突撃動作の訓練のみが
重視されていた
よく言われるように、一度戦闘に入ったファランクスの側背を攻撃することは
それほど容易ではなかった
それは全力疾走するファランクスの突進を喰い止めた時のみ達成されたが、
ギリシア式のファランクスを喰い止める兵科は、ギリシア式のファランクスのみだった
ファランクス部隊を持たなかったマラトンのペルシア軍にとって、
この事実は致命的な結果をもたらすことになった
マラトン以後、ペルシアは自軍にギリシア人傭兵によるファランクス部隊を編入
することになる
そんだけ