続・獣巡ねこたま艤装計画

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265あんたら@なんだか眠いぞ
今のスレの状態だと建艦計画の話は進めようがないにゃ。
そこでがらりと話題を変えて、巡洋艦の主砲について考えて見るにゃ。

8インチについてはアメリカは55口径で日本より砲身が長く、かつ砲塔が重装甲だとかと
いうのはあるけれど、このへんはよく知られていることなのでここでは省略。
ここで述べるのは6inクラス。ここには興味深い差異があるからにゃ。
最上型に搭載された3年式15.5cm砲は日本の艦砲の中で最優秀と言われるほど評価が高い。
んじゃ他国の6inクラスの砲と比べたらどうなの?という事を考えて見る。
比較対象はアメリカの6in Mk16。なぜコイツが対象なのかというのはたぶんあとでわかる
にゃ。
まず要目の比較。
○3年式15.5cm砲
・砲身長 9.615m(62.03口径)
・砲身重量 12.7トン
・最大射程 27,400m
・弾丸重量 55.87トン(91式徹甲弾)
・3連装砲塔の重量 177トン
・発射速度 毎分5発

○6インチ砲Mk16
・砲身長 7.169m(47.04口径)
・砲身重量 4.37トン
・最大射程 23,882m
・弾丸重量 59トン(SHS -Super Heavy Shell-)
・3連装砲塔の重量 167トン

まず目に付くのは射程。15.5cm砲の方が4km近く長い。アウトレンジできるんだからとっ
ても有利、と言いたいところだけどにゃ…
最上型と対抗するブルックリン型は舷側4in(102mm)甲板3in(76mm)主砲塔前面5.6in
(142mm)という重装甲。25000メートルでは抜けない。
20000メートルなら舷側装甲を抜ける可能性が出てくる。ん?
20000メートルってMk16の射程内にゃ…
アウトレンジの意味ないじゃん・・・
何より注目すべきはMk16の砲身の軽さ!15.5cm砲の3分の1近いですにゃ。
8inクラスなら日米そう変わらないけど、このクラスになると差は歴然。
(因みに3年式2号20.3cm砲の砲身重量は19トン、8inMk15は17トン)
47口径という比較的短砲身にしたのは、じつはこの砲身の軽さを実現する為だという一面
があるにゃ。
砲身が軽いから俯仰機構なんかが軽くてすむ。構造重量が軽くなるという事にゃ。で、そ
の分の重量を防御に回せる。
だから、日本の15.5cm3連装砲とアメリカの6in3連装砲は結果的に似たような重量になっ
てるにゃ。

ここでちょっと余談。
日本は89式12.7cm高角砲の性能向上型として、口径を下げた65口径10cm砲を選んだ。
アメリカは日本に大分遅れて、38口径12.7cm高角砲の性能向上型として54口径を開発した。
弾丸の互換性とかを考えると、日本もなぜ長砲身の12.7cm砲を開発しなかったにゃ?とい
う疑問が生じるが、その最大の理由が「軽量砲身を開発できる技術力の有無」なんだにゃ。
40口径の89式12.7cm高角砲の砲身重量は3トン。
で、38口径12.7cm高角砲Mk12の砲身重量はというと、これが1.8トン。
一方、
65口径10cm砲の砲身重量は3トン。
54口径12.7cm高角砲Mk16の砲身重量は2.5トン。
お分かりですね。
アメリカには軽い砲身を製造可能な技術力があったのに比べ、日本にはなかった。
その為日本は長砲身の高角砲を開発する為には口径を1ランク落とさざるを得なかった。
アメリカよりも先見の明があったものの、工業力がついていかなかったんだにゃ…
(つづく)
266あんたら@もう寝ようかな:01/09/13 21:54 ID:p9uQ69c2
(つづき)
話を元に戻して、ここからがホントの主題。
装薬が日米で大きく異なる。ここがポイント。
3年式15.5cm砲は分離式薬包。戦艦の主砲や8inなんかと同じ。
6in砲Mk16は半分離式薬莢。これは傑作との誉れ高い5in38口径高角砲Mk12と同じ。
薬莢式の方が当然装填時間が短くてすむ。この差が毎分3発の差になるにゃ。
もうひとつ。
弾丸の装填可能位置だが、3年式15.5cm砲の3連装砲塔は+7°で固定。
6inMk16の3連装砲塔は+20°までの範囲内で自由。
+20°というのはだいたい射程18000ヤード付近かにゃ。
18000ヤードを切った距離ならMk16は装填の度に砲身を上下する必要がなく、詰めちゃ撃
ち、詰めちゃ撃ちてなことができる。このときの発射速度は毎分10発。つまり3年式15.
5cm砲の2倍。
8in砲であっても20000メートルでの射撃なんてまず当たらない。勝負は15000メートルと
か、それ以下の距離になる。
それくらいの、最も活発に砲戦が行われる距離では、ブルックリン型1隻は最上型2隻に相
当する。ブルックリン恐るべし、にゃ。
単位時間あたりの投射弾量で比較すると・・・

タスカルーサ(8inL55×9)…152(kg)×3(発/分)×9(門)=4104(kg)
最上@改装後(8inL50×9)…125(kg)×3(発/分)×10(門)=3750(kg)
ブルックリン(6inL47×15)…59(kg)×10(発/分)×15(門)=8850(kg)
《発射速度を毎分8発と見積ると59(kg)×8(発/分)×15(門)=7080(kg)》
最上@改装前(6inL60×15)…56(kg)×5(発/分)×15(門)=4200(kg)

アメリカの砲戦巡洋艦の主力は隻数だけでなく、日本海軍に対する戦術思想においても
6in砲搭載艦が主力であり、8in砲搭載艦はその補助であったのではないかと推察するにゃ。
8in砲搭載艦は打撃力の強化、特に遠距離砲戦における6in砲の不利をカバーするものだが、
既述のように20000メートルを超える距離ではまず当たらないにゃ。
15000メートル以下になれば6inMk16の発射速度の高さがモノを言う。投射弾量で圧倒でき
る。それに日本の大型巡洋艦は砲塔と魚雷発射管に防御上の弱点を抱えているから、6in
砲で戦闘能力を喪失させることが十分に可能だにゃ。

クリーブランド型で6in主砲が3門減ったのは、「15門もいらないにゃ」と思ったんでしょ
うね。また、50隻を超える大量建造計画になったのは、ひとえに6inMk16の優秀さがある
と思うにゃ。
もうお分かりだと思いますが、WW2に就役した巡洋艦が搭載した6inクラスの砲の中では、
Mk16はダントツ最優秀の砲にゃ。
それと、日本海軍が最上型砲力の主砲を8inに換装したのは正解だと思うにゃ。
3年式15.5cm砲のままだとブルックリン型にはで対抗できないんだから、1発の威力に頼る
より他ないということにゃ。

酸素魚雷なくしては日本の巡洋艦は砲力においては同格の艦には対抗できない。だから、
主砲って実は格下の艦の排除用ということになるにゃ。
やっぱり日本の巡洋艦は魚雷が主兵装だということですにゃ。

<結論>
69式氏マンセー!