リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

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79一等自営業
対馬20;25   (その3)
戦闘の興奮が収まってきた。
吉田がやられた!と騒ぎ出した。興奮して左肩を貫通されて
たのが、気が付かなかったのだ。堤も手榴弾の破片で目の
上を切って、たれた血で目が見えなくなるまで汗だと思って
いた。吉田は致命傷ではない、損害はまだ軽妙だ。

弾薬の分配をした。一番撃ってるのは入り口側の吉田たち。
予備マガジンも手榴弾も一つずつ。堤は援体を回って
みんなの手持ち弾薬の平均化をした。各自二つずつ。
次の戦闘では完全に負ける。囲まれてるので撤退も出来ない。
まだ、誰も騒がないが・・マズイ。
こんな事、習ってないぞ。

さっきから町のほうの戦闘雑音もしていない。味方が蹂躙され
たのか・・・・・まさか!
心配するときりがなく出てくる。昨日まで飲みに通ってた本町
のスナックは大丈夫かな?あのブスホステスは?
俺の隊舎の部屋は?

遠くからエンジン音が聞こえる。キャタピラの鉄が擦れる音が。
戦車か!
味方・・・まさか!早すぎる。もう一日はかかるはずだ。
演習で何度も言われた。三日は守れ!そうすれば大丈夫だ。
敵が揚陸したのか・・・
対馬警備隊は全滅したのか・・・・まさか!
でも、装甲車両の音だ。エンジン音はデーゼルだ!

分隊の仲間もエンジン音に気づいて騒ぎ出した。堤は
「落ち着け!落ち着けよ!」まるで、年季の入った助教の
口ぶりになってた。
エンジン音が大きくなった。黒い大きな塊が監視詰め所前の
最後のコーナーを曲がってきてるんだ。堤は六四式を強く
握った。くそ!やられちまう・・・・
詰め所入り口前の敵の死体の前で、大きな鉄の塊は停止した。

「堤陸士長!」本管の准尉の声が、戦車のエンジン音の向こう
から聞こえる。「遅くなってスマン!」
戦車は対馬警備隊駐屯地に鎮座していた六一式だ。展示して
あるが時々整備してたが、本当に動かしてきたんだ。
戦車の後ろには、第二中隊の連中が散開して繋がってる。
戦車は砲弾を発射できないが、充分に”こけおどし”には
なってるようだ。

北東方向で遠い連続射撃音。
「あれはレーダーサイトの方だな。掃討してるんだ。」
准尉は簡単に一言で片付けた。
俺たちは治療を受けてから、本部に戻ることになった。
吉田は病院送りになり、俺たちの戦争は終わった。