リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

このエントリーをはてなブックマークに追加
564官僚勤務〜月月ブル〜
課長補佐豊田の決心その1
課長補佐豊田はキャリアコースのなかでは横浜市立大学を経て政策研究大学院
大学在学中に甲種幹部候補生学校に入学、国家公務員上級職試験合格、国民経
済省入省しハーバード大学MBAコース官命留学という亜流の系列であった。
さて、義兄の金白柱の突然の訪問と思わぬ申し出に動揺をしていた。
彼は幹部学校同期の戦死や高校同級生で防衛医大卒でありながら、精神分析
医という風変わりではあるが洞察力のある小田からの深刻な国軍兵士の前線
での燃え尽き症候群およびPTSDによる戦闘能力低下を聞かされる一方で
省益のみで国益なしの霞ヶ関での生活を密かに厭うようになっていた。
 さて、小田が雑穀から作った手製の濁酒を下げて豊田の官舎に軍服すがた
である夜突然訪ねてきた。
 小田は軍医2佐であるが平和であった頃の都心の精神分析オフィスでの
開業医時代と様子に変化のない悠々たる大人物であった。
 小田の妻は大学病院で心理士であったが、現在は徴用され国防省軍人管理
庁で兵士の精神面での健康調査をMMPI−U(ミネソタマルティプルパー
ソナリティインベントリーテスト)などを活用して行っていた。
 小田は開口一番に「あんたなあまずいよ、これで終戦してもな、復員局は
心理面でのケアが必要なヘータイで手まわらんよ」
 「そんなにひどいのか」
 「ああ、SAD(慢性疲労症候群)とPTSDと燃え尽き症候群を併発して
前線で3ヶ月以上勤務しているヘータイさんのなあ6割はまずいぜ」
 「どうなるんだ?」
 「結局ここしばらく大量に出ている下士官・兵の問題行動は卑怯でもなんで
もない、厳罰にしてもムダだな、戦闘外戦力低下だよ」
と、手製の濁酒で赤くなりながらせっかちに早口でしゃべっていた。
 豊田は話を聞きながら義兄の申し出を受けるのがこの際、自分にとっては
もしかしたら必要なことではないかと考えていた。