リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

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498官僚きんむ〜月月ぶる〜〜
義兄金白柱大佐
豊田が6省連絡会議に参加し、帰庁したのは23時過ぎであった。
戦時体制のために蛍光灯は半分撤去され、かつては明るいビルで
あった国民経済省は外壁が迷彩色にぬりたくられ、室内も米軍の
兵舎のようなモスグリーンにぬられてまさに戦時色一色であった。
Kレーションが支給されあちこちにガタの出ているパソコンで起
案文章の最終チェックを始めいていた。
 内容は「特別認可法人全国繊維生産統制組合の組織を定める法の
省令」であった。
 豊田はいまさら統制組合よりもドイツの軍需相のA・シュペアーの
鮮やかな民活手法を思い起こしては憂鬱になっていった。
 そのとき、勤労奉仕学生の職員から「課長補佐お客さまがお見えです」
と声をかけられ、狭い日用品課の入口に目をやると義兄の金白柱が素早い
身ごなしで入室してきた。
 義兄の金白柱は大佐で韓国第一軍団の歩兵第一師団の参謀長であった
はずであり、激戦の中心に第一師団ありといわれる師団参謀長が前線を
はなれて日本になぜいるのかといぶかしくおもった。
 「キムにいさんどうしたのですか?」
と義兄ではあるが見識と才能のある金に対して実の兄、いや父代わりの
ような尊敬の感情をもっていた。
 「豊田よ、(義兄は日・米語が自由に扱えた)米穀国防省主催の合同
会議に参加した帰りによったのだよ」と温厚なしかしながら威厳のある
声で話しかけてきた。
 「お兄さんは師団参謀長ではなかったのですか?」
 「いやこの定期異動で韓国陸軍省付になり、今は白元帥の南部方面軍
の高級参謀に補任されたのだよ」
 「ご栄転おめでとうございます」
 「いやおれは第一線向きでどうもなあ」
という会話のあとで義兄が声をひそめて語りかけてきた。
 「弟よ白元帥が日本人の副官を求めているんだ」
 「そうですか合同作戦にはやはり意志疎通のために必要なんですね」
 「そうなんだ、あと国軍(日本側)とうまく連絡をつけてくれる人物
も今すぐに必要なんだ」
 「そうすると防衛省に依頼にいったのですね」
 「いや、もう腹案が決まっている」
 「さすが義兄(おにいさん)さんですね。」
 「そこでだ、豊田、引き受けてくれんか?」
 「え?え?いくらお兄さんの申し出でも不可能ですよ、幹部候補生学校
に在籍して予備役軍籍としては1尉ですが、軍人世界の仕組みはまるでわか
らないし、第一、単なる役人ですよ」
 「そうじゃないんだ、連絡調整役だから型にはまった軍人ではなく豊田
のようないままで各省の連絡調整で養ってきた力が必要なんだ」
(以下次号)