リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

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植松がUH−60から飛び出す。
その時だった。立て続けに銃声が鳴り響いた。
降下中の植松の周囲にも弾丸の飛翔音が通過する。ヘリにも「カン!カン!」と命中する。
幸い植松には命中しなかった。上空のヘリを見上げると、3曹が闇雲に機銃を撃っている。
(敵だ・・・)
植松はその場に伏せながら周囲を見回す。どこにいるのか分からない。銃撃を避けるため、
ヘリはいったん上昇していく。
「コウノトリ、こちらカラス。銃撃を受けました。そちらから何か見えますか?」
植松は機関拳銃の安全装置を外しながら、無線でヘリに訊く。
『林の向こうに敵と思われる複数の兵隊が見える。掩護するから早く捜索してくれ』
機長が応える。上空のヘリでは、3曹が機銃を撃ち続けている。
すると南から1機のUH−1がやってきた。
『こちらススキノ1、支援する』
敵の出現を予測して陸自から派遣されたヘリだった。
銃撃を避けるため植松よりも後方の小高い丘に着陸する。同時に8人程度の陸自隊員が降りるのが見える。
心強い味方だった。植松は姿勢を低くしながら林を目指す。
そこへまた敵が撃って来る。植松を狙っていた。周囲に次々と着弾する。
砂埃が飛び散る。息苦しいほどだった。倒木に身を隠した彼は、身動きできない。
植松は恐怖で心臓が破裂しそうだった。いくつもの修羅場を経験したベテランでも
自分に向けて撃たれるというのは初めての経験だった。
恐る恐る、倒木から顔を出す。するとまた銃弾が飛んでくる。慌てて伏せる。
今度は敵が見えた。複数のロシア兵が、銃を構えて林の向こうの植垣に潜んでいた。
(飛び出せば撃たれる・・・)
顔を埃だらけにしながら植松は思った。そこへ無線が入る。
『こちらススキノ。カラス、掩護するから林へ飛び込め』
陸自の指揮官が言ってくる。
(畜生・・・こっちの身にもなってみろ・・・)
まともな銃撃戦の訓練も受けていない植松は、陸自の指揮官にそう言ってやりたかった。
丘の上に布陣した陸自の隊員たちは小銃や機関銃を撃ち始めた。
ロシア兵も応射する。植松をはさんで、激しい銃撃戦になった。
「くそっ!」
植松は勇気を振り絞って飛び出した。走りながらロシア兵の方向に機関拳銃を連射する。
狙ってなんかいないから、もちろん当たるはずもない。
人生最速の全力疾走をする彼の周囲に、無数の敵弾が飛んでくる。凄まじい砂埃だ。
林道の入り口まで20メートル。たどり着くまでが永遠に感じられた。