>>440 はちまきとめがねが連れ込まれた部屋は、どこかのオフィスの
応接間と思しき、実に殺風景な部屋だった。
目隠しも、手錠もなかったが、道中完全なスモークシールドの
ワンボックスカーに押し込まれ、前後左右から銃口を突きつけ
られていてはあまり代わりがない。
「ここで少し待て」
指揮官と思しき年配の男は、そういい捨てて部屋を出て行った。
後には、飽きもせず銃を構えている5人の男。
「まーったく、茶の一つも出ないの?ここってさ」
めがねは芝居じみた陽気さであれこれ話し掛けていたが、男たちがまったく
無反応でいたので、やがてふてくされたように黙り込んだ。
沈黙が落ちていたのは、それほど長い時間ではなかった。
いかにも合板製の安っぽいドアが開き、数人の男が中へ入ってくる。
その中央にいた、サングラスの男がにやりとわらってはちまきにいった。
「上海以来だな。10年ぶりか?」