リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

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第2護衛隊群海戦記
空自の活躍で、北九州上空の制空権は我が方が握った。
米機動部隊により南西諸島と日本海からの補給路を絶たれた敵は、
最後の輸送手段として高速艦艇をもって朝鮮半島西岸づたいに物資を輸送する「ネズミ輸送」を開始した。
これを阻止すれば、北九州の敵軍はまったく孤立無援となる。
敵の高速輸送部隊を撃滅しなくてはならない。
しかし空自は南西諸島や対ロシアの作戦に忙しく、支援戦闘機を回せないと言う。
したがって、これは戦争当初から失態続きの海自の仕事だ。
だが海自も、潜水艦部隊やP3Cは忙しかった。
頼みの綱は水上部隊だけだ。
夕刻、内海西部を出撃した「くらま」以下5隻の水上部隊は、関門海峡を通過、
深夜、響灘を経て玄界灘に突入した。
壱岐の西方海上で哨戒ヘリが敵艦数隻を探知。
待ち受ける中国艦艇だ。関門海峡通過の際、敵の沿岸監視員が報告したのだろう。
電波封止のまま、ヘリのデータリンクを頼りにSSM発射。
漆黒の闇に凄まじい炎を上げながら、SSMは次々と天空に消えていく。
「ヒット!ヒット!」対潜ヘリからの報告。
「やったー!」CDC内で歓声が上がる。
暗がりでよく見えないが、群司令は黙ったままだ。
部隊は速力28ノットで西進を続ける。水平線に撃破した中国海軍の駆逐艦数隻が見えてくる。
紅蓮の炎が玄界灘を染めている。
突然、ミサイル警報。敵のミサイル艇らしい。小島が多くヘリで探知できなかったのだろう。
電波封止解除。各艦一斉に対空レーダー作動。
闇に溶け込んでいた「こんごう」から炎が上がる。
やられたのではない。ミサイル迎撃のためにSAMを発射しているのだ。
一発の敵ミサイルが「ゆうだち」に接近する。CIWSの一条の弾道が天空に向けて放たれる。
撃墜。それ以上のミサイルは来なかった。一瞬探知した敵ミサイル艇も再び小島群に紛れてしまった。
再び電波封止。
こちらも小島群を巧みに利用して、敵の探知を避ける。
レーダー無しの航海だ。
艦橋では海図と格闘している航海長の横顔が、僅かに灯りに浮かんでいる。
航海長の補佐を受けた艦長は、島や僚艦と激突しないよう、矢継ぎ早に進路や速力を指示する。
対馬と五島の中間で、敵高速輸送部隊を探知。
再びSSM発射。敵数隻を撃破する。しかし撃滅ではない。
CDCから群司令が艦橋に上がってくる。
群司令「艦長、敵撃滅を期し、さらに追尾する。砲撃戦だ」
艦長 「わかりました」
「本艦はこれより、敵水上部隊を追撃する。咄嗟砲戦に備えよ」艦内マイクが響く。
部隊はSSMで炎上した敵艦艇の間を通過する。
「右20度、艦影見ゆ!高速で航行中!突っ込んでくる!」
暗視装置に取り付いたウイングの見張員が叫ぶ。
「咄嗟砲戦!右砲戦用意!」
艦長が叫ぶ。群司令は黙ったまま椅子に体躯を沈めている。
暗闇のため、目の前の5インチ砲が旋回しているのも見えない。
後続艦も見えないが、ついてきている。
「被弾に備えろ!」
艦長が指示する。部隊は敵艦艇との砲撃戦に入ろうとしていた。