リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍

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314北九州方面、苦闘から反撃へ
迅速な移動が困難とは言え、遠賀川以西は絶対確保しておくことが反攻の必要条件ではあった。
ここを突破されたら、八幡方面での戦闘となり、民間資産に甚大な被害を与えてしまう。
何より、3号線と九州自動車道の保持は、後続部隊のためにも確保は必須であった。

折尾・若松・直方・中間の各警察の必死の努力により、関係の住民は小倉や門司の施設とうに収容され、
部隊は中島橋、遠賀橋を封鎖、芦屋橋と遠賀川橋の確保に成功した。また、門司港に
第8師団から1個中隊が応援として駆けつけた。大分からの第4戦車大隊の先発12両も
時期に到達する予定であった。

敵の先方部隊、ろくに補給線も維持できず、ずいぶんみずぼらしい陣容にはなっていたが、
BMP十数両を中心とした1個大隊が現在東郷付近を3号線を使い西進中、また同様の部隊が
津屋崎町を495号線沿いに同じく西進中であるとの情報が偵察小隊からもたら
された。北側の敵は、垂見峠を使い挟撃可能である。その前の平野部において、
重迫撃砲の全力射撃で足止めは可能だろう。この付近の住民は、今しがたの警察からの
情報によれば、ほぼ非難完了との事であった。戦後のことを考えれば、民家に
当たる可能性のある迫撃砲は積極的に使いたくないが、突破されて遠賀川を超えられたら
九州北部への増援は困難を増すことになる。絶対に引くわけにはいかない。

問題は、3号線の敵である。このあたりは隘路となる部分が多く、またトンネルも
いくらかある。海老津あたりでの迎撃は可能ではあろうが、それだと突破されれば
遠賀川まで6キロしか余裕がなくなる。撃退に失敗したならば、立てなおして
そのまま橋を確保することができるだろうか? 連隊長は苦悩した。

現有兵力は、ほぼ一個連隊。もうすぐ届く戦車を、機動打撃力として
山田峠付近に待機、進撃に比較的時間のかかるであろう東郷の敵は後回しにして
(連中,なぜか進撃と停止を繰り返していやがる。そんなに沿線沿いのファミレスが
珍しいか?)、先に重迫で北側を撃退、その後歩兵のみによって形成する垂見防衛線によって
膠着に持ち込む。その間に南側の敵を戦車を中心にした兵力によって撃破する・・・。
一度や二度は撃退させられるであろうが、弾薬も不足気味、特科兵力の不足、
ましてや航空支援は、たまの嫌がらせ程度しか行ってもらえないなど、不利な要因は
幾らでもある。しかし、戦わなければならなかった。義務や、使命感だけではない。

「佐智子・・・。父さんは、お前に何を言われようが、自衛官であることに
誇りを持っている。認められない仕事かもしれない。お前の主張からも確かにいい仕事ではないかもしれない」
 けど。
 連隊長は、拘置所の中にいるはずの娘に語り掛けるように、呟いた。
「お前を守る。そのためには、敵と自分の血によってこの地を汚しても」

北九州方面における初の組織的抗戦は、個人的感情をふんだんに内包しつつ、
静かに始まろうとしていた。