〜起て! 萌えたる者よ〜 慶祝スレッド第七章

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798萌之院
日記

今日は、Delbrueckの"History of the Art of the War"を読むことにした。それにしても
なぜ、吉野の御所にはこんな本が転がっているのだろう。英語は久しぶりで少し疲れてしまっ
たのでお茶をもらおうと女官の部屋に行ったら、わたしと同い年の何人かが買い物に行く相談
をしていた。夏の服や水着を買いに行くらしい。
その様子があまりにも楽しそうだったので、つい一緒に連れて行ってくれないかと言ってしまっ
た。わたしに初めてそんなことを言われて女官たちは驚いたような顔をしたが、そのうちの一人
が、いいですよ、殿下、と言ってくれた。身分が違いますと言われたらどうしようかと思ってい
たわたしは、ほっとして息をついてしまった。
最初はどうしてもぎこちない話し方しかできなかったが、そのうち打ち解けた話ができるように
なった。服を選んだり水着を選んだりするときには、ずっと昔からの友達のようにはしゃぎ合っ
てしまった。わたしは白の飾りのないワンピースがいいと言ったのに、あの子達は、もえみ様は
スタイルがよろしいですから思い切って黒のセパレートはいかがですか、とか、もっと派手な水
着のほうが似合いますよ、とか言ってからかうのだ。わたしが恥ずかしくなって顔を赤らめてし
まうのが面白いらしく、もえみさまって本当に肌が白くてきれいとか、足もすらりと長くて素敵
とか言って、きゃぁきゃぁと笑い声を立てる。そんなふうにからかわれながら、わたしはなぜか
これまでに感じたことのない喜びを感じていた。
夏用のスカートやらブラウスやらTシャツを買った後で(ここでもさっきの騒ぎは繰り返された)、
みんなで喫茶店に入って休むことにした。入ったのは、雰囲気のよい静かな店で、そこでくだら
ない噂話に花を咲かせた。同じくらいの年の女の子はこんな話をする者だと思いながらわたしは
その話を聞いていた。意外だったのはあの靴置きが女官たちに人気のあることだった。わた
しがそのことを口にすると、もえみさんはいつも近くにいるからあの人の凄さがわからないんで
すよ、と彼女たちは口々に言った。なんとも意外なことで納得できなかったが、彼女たちが嘘を
つくような人間ではないことはわかっているから、少し注意しておくことにしよう。確かに時々
何を考えているのかわからないことがある男なのは確かだから。
支払いのとき、彼女たちの給料が安いことは知っているし、今日は一日付き合ってもらって楽し
かったので、その礼のつもりでわたしはまとめて払おうとした。すると、彼女たちのうちの一人
がわたしを押しとどめて、今日は割り勘よ、友達同士なんだから、と言ってくれた。こんなに気
持ちのいい言葉をかけてもらったのは初めてかもしれない。今日は酒に頼ることなく眠りにつけ
そうだ。明日からは、もっと女官たちと、いいえ友達と話をすることにしよう。