「取り引きというわけじゃありませんよ。加藤さん。醍醐の旅団長からの依頼です」
ぬいぐるみを抱いた少女が僅か顔を上げた。
漆黒の艶やかな髪、それと対照的な雪花石膏のような真っ白な肌、
その顔に表情というものはない。胸に抱えている「ぬいさん」と呼ぶぬいぐるみの方が
まだ表情があるようだ。
「……………醍醐の命令なのかえ?」
声にも生気というものが感じられない。
「ええ、そうです。具合悪いようですが、だいじょうぶですか?」
「姫は"御力"をお使い過ぎて消耗しておる。だが心配ない」
加藤というごつい顔をした長身の男にも表情というものが感じられない、
年齢は…ちょっと解らない。見た目より若くも老けているようにも感じられる。
「……………醍醐がそういうのなら、わららは帝都に戻る」
少女が立ち上がった。
「やっほー、あなたが萌姫ちゃん?わたしは萌浜ともえ、安徳帝の血を引く西朝の皇女だよ」
「………西朝……親王様の仇敵、国香と貞盛の眷族………」
「そうだよ、でもケンカしたといっても、ボクたちは平の親戚じゃない、仲良くしようよ」
「中隊長、このお方が東朝の皇女です」
「……………」
「暗く俯いて黙ってるなんて良くないなぁ、うちら西朝はアットホームでマターリとした雰囲気が
取り柄なんだ。戦争は弱いけどね」
「そうですよ、東朝の皇女さま」
小官は赤坂の頭を軽くこずいた。
東朝の萌姫殿下、加藤、野々村…この新たな三人の客人を食わえ我々は帝都へ戻る。
われわれ西朝のアットホームな雰囲気で、萌姫たんをアットホームなマターリキャラに出来るか、
それとも我々がダウナーの感染を受けてしまうのか。
まだ、誰も知らない。
(とりあえず今は東朝のキャラ作りが優先なので、強制的に連れてきちゃってください)