〜起て! 萌えたる者よ〜 慶祝スレッド第七章

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49加藤
 寝苦しそうに布団の中で喘いでいる少女を俺はじっと見詰めている。
 また、いつもの夢を見ているのだ。自らに憑いている強大なる怨霊を持て余し、その見せる夢に少女は毎夜のように魘される。
「……! ……!」
 目が覚めても、何も見ていないような焦点の合わぬ眼で、いつも呆と一人の世界に篭っている少女はまるで夜の夢で感情を使い果たしているかの如く、毎夜恐怖と怨霊たちの怒りに責め苛まれているのだ。
 少女に憑いている霊たちは決して少女から離れようとはすまい、そして少女は永劫に笑顔を取り戻す事もあるまい。
 皇位の回復などという途方もない怨霊たちの夢を叶えぬ限り、少女が夢から解放される事はないのだ。
 汗みずくの少女のおかっぱ頭を、そっと拭い。俺は心に宿る無謀なる野望に思いを馳せる。
 怨霊たちの夢を叶え、少女を解放して見せようではないか。
 帝都を破壊する以上に難しく、そして面白い戦いではないか……。
 幸いにも、今皇統は三つに分裂しているという。その間隙を縫えば、もしやという事も考えられぬ事もあるまい。
 そのためにも、俺はこの少女が持つ霊力と萌力を最大に活かしてみせよう。
 そして、その暁には……。