●●●大日本帝國海軍 軍艦『伊勢』の死闘●●● 

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342名無し@特務大尉
ガタルカナル島東方沖200浬 昭和17年10月31日 0740・・・
ガタルカナルを払暁飛び立った攻撃隊は現在のところ高度4000米を順調に進撃を続けていた。
そして海面を見下ろすと東方洋上に幾筋もの白い航跡が見受けられた。
攻撃目標を発見したのだ。そして雷撃隊は高度を下げながら敵艦隊の側面を突けるよう、大旋回
を開始しつつあり、水平爆撃隊は爆撃指定高度である3000米に落としながら、爆撃体勢に入
りつつあった。そして護衛の零戦はやや高度を上げつつ周囲の警戒を続けた。
しかしその零戦隊の目にこの任務に際しては、存在するはずのない飛行物体が北方より現れた。
「敵機発見!北方同高度」バンク及び手信号で寮機に知らせ、次々に増槽を落とし、突入してい
く零戦隊!そして目の前に現れたのが主翼が極端に折れ曲がり濃紺に塗装された戦闘機である。
そうF6Fと共にこの戦争中盤以降の大空を縦横に駆け回り、停戦まで日本戦闘機と死闘を繰
り広げる事となるF4Uコルセア、その初期型が初めて日本軍の前に姿を現したのである。
そして主翼前端部を発砲炎で真っ赤に染めながら突撃してきた。しかし零戦のパイロットも弾
道直進性の高い7.7粍を乱射しつつこれに応じて両編隊はすれ違った。そして乱戦に移行し
た。零戦隊合計48機対するコルセア隊は合計70機程度、間違いなくこの海域に米航空母艦
が一隻伏在していることが確実となった。
そして攻撃隊にもコルセアが取り付きつつあった。そしてそれを零戦が自らを盾にするが如く
妨害する。このような情景が随所で繰り広げられた。そして攻撃隊の盾となりコルセアに打ち
抜かれ火だるまになって墜落する零戦、そして零戦の20粍に打ち抜かれ主翼がさらに折れ曲
がり墜落するコルセア・・敵艦隊を目前にしながら無念の被弾発火で墜落する一式陸攻・・
しかし最終的に攻撃隊のほとんどが敵の必死の妨害をすり抜け敵艦隊に突撃を開始した。
その敵艦隊には戦艦マサチュ−セッツ アラバマ そして旧式戦艦ア−カンソ−そして航空機
にとっては死に神にも等しい存在の防空巡洋艦が3隻それらの周囲に駆逐艦が見事な防空輪陣
形を取っていた。雷撃隊は駆逐艦の対空射撃をすり抜け、まず戦艦ではなく防空巡洋艦に突撃
を開始した。先陣の6機の一式陸攻が横一線に並び防空巡洋艦の左舷側より高度10米以下と
いうこの時期の日本海軍の熟練操縦者でなければ為し得ない驚異的な低高度で突撃を開始した。
しかし防空巡洋艦はそれ以上に強力であった猛烈な対空砲火でたちまちの内に3機を火だるま
にした。しかし猛火に包まれた一式陸攻の内一機が防空巡洋艦の艦橋部分に突入し、その寸前
に魚雷を投下し命中させた。そして残り3機の投下した魚雷の内1本が左舷中央部に命中し、
戦闘不能となりそして数分後波間に没した。そして水平爆撃隊8機が戦艦の中で先頭に立って
いたアラバマに対し80番徹甲爆弾による水平爆撃を敢行した。アラバマ自身の対空放火と護
衛艦の対空放火により射点につくまでに3機を失ったが、九六陸攻は長門級戦艦の主砲弾より
改造された巨大な爆弾を投下した。そして一発がアラバマの第三主砲塔のやや後部に命中した。
そしてアラバマの防御甲板を貫通し艦内奥深く貫入したのちに砲弾の本来の仕事を行った。
そしてアラバマの主砲弾薬庫に火炎を送り込んだが、火薬庫の注水が行われ誘爆を防いだ。し
かし当然ながら第三主砲は使用不可能となり速力が15ノットに落ちた。そのほかの攻撃隊は
戦闘機の妨害と強大な対空放火に妨げられて駆逐艦を1隻に魚雷を命中させ撃沈させたにすぎ
なかった。しかしこの攻撃において対空放火と最後まで抵抗をやめないコルセアの迎撃を受け
て全攻撃隊約80機の内約4割の30機が撃墜され、20機が損害を受けた。
そして戦闘機もコルセアとの戦いで14機が未帰還となった。(続く)