戦略偵察機オーロラ

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6名無し三等兵
『ショックウェーブ 非線形現象の謎』(高山和喜,オーム社,\1400,1998)という本に面白い記述がありました。少し長いですが正確のためそのまま引用します。

「 パサデナにあるカリフォルニア工科大学地震研究所の金森教授は,南カリフォルニアに地震計を分布して配置するプロジェクトの総括をしています。このプロジェクトでは,地震計群は微動から大振幅の地震の振動波形を検出してただちにスーパーコンピューターで解析して,地下の震源の位置ばかりでなく地震波が伝播する様子を,実時間でこのプロジェクトと契約している顧客に通報するようになっています。
 この装置の感度は非常に高いので,スペース・シャトルが大気圏に再突入するとき,ソニック・ブームが地面を伝わる振動を検知しました。スペース・シャトルが太平洋側からロスアンジェルス市の上空を横切ってエドワーズ空軍基地に着陸するとき,ソニックブームはロスアンジェルス市街の高層ビルを加振しました。たまたま,ソニック・ブームの空気力学的に加振する周波数が建物の固有振動数に近いときには建物は共振しました。共振の大振幅の波動は地下の岩盤中を縦波速度でスペース・シャトルの飛行に先行して伝わりました。先行する縦波と遅れて伝わるソニック・ブームの振動は分布して設置されている地震計に検知され解析されました。この地震計群は,また週末に非常な高々度を,マッハ数五以上の高速で飛行するスペース・シャトルとは無関係な正体不明の物体,多分開発中の極超音速飛行機が作るソニック・ブームを検知しています。」

著者は東北大学高速力学研究所の衝撃波研究センター長の教授だそうで,本書は衝撃波について学術的には正確に書かれた入門書で,超音速機の話も出てくるので内容の信頼度は高いと思います。ミサイルでは強いソニック・ブームは生じないと思いますし,何らかの極超音速機実在の可能性は高いように思えてきました。