泣ける話

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828ヤマト
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それは光山文博少尉のことでは?
前出の草思社刊「ホタル帰る」より
以下出撃直前富屋を後にする光山少尉との記述
光山はさようならを言う前に、自分の使っていた黄色い布の財布を取り出した。
布は朝鮮のものだということだった。光山は筆と硯を借りて、その財布に
「贈為島浜トメ殿 光山少尉」と書いた。
「小母ちゃん、飛行兵って何も持っていないんだよ。だから形見といっても、あげるものは
何にもないんだけど、よかったら、これ、形見だと思って取っておいてくれるかなあ」
といった。トメは黙ってその財布を押し戴いた。
光山は立ち上がった。飛行服のあちこちにトメが作った人形のマスコットや美阿子の
作ったマスコットをぶら下げている。トメの作った人形は頭ばかり大きくてまるで
照る照る坊主のような感じで、娘たちはみっともないと思ったが、トメも光山少尉も
満足していた。トメは別れ際に富屋の三人の写真(この当時写真は一般人にとって
大変貴重なものである)を渡した。「これもってって・・・」
「そうかい小母ちゃん、ありがとう。みんなと一緒に出撃して行けるなんて、こんなに
嬉しいことはないよ」
光山は手を振りながら、灯火管制下の暗い夜の闇に消えていった。
翌五月十一日、光山少尉は一式戦闘機(隼)で出撃、還らぬ人となった。  合掌
現在公開中の邦画「ホタル」のなかで主演の高倉健が逝ってしまった特攻兵の生き様と
形見の品を彼の祖国へ渡り、遺族を探して渡すというストーリーの「彼」のモデルが
光山少尉とされています。
度重なる長文ですみません。