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日本の仮想敵国は中国だと語られることが多いこのごろ。中国を知るために。
司馬遷「史記」
中国文化から滲み出た人間学の集大成ともいえる書。中でも史記
列伝はどんな人にもおすすめ。
毛沢東「毛沢東選集」
日中戦争で勝てなかったのは土地が広大だったからとか、人口が
とにかく多すぎたとかアメリカの物資援助のせいだとか語られる
ことが多い。しかし、本書は指導者の知的水準ことに洞察力にお
いて決定的に負けていたことを教えてくれるだろう。「戦略なき
日本」などといわれて、戦略がないからアメリカにいいようにさ
れるのだ。それにくらべて戦前の日本にはちゃんと戦略はあった
と語られることが最近多い。しかし、その戦前の日本もあれだけ
あなどってばかにしていた中国にさえ戦略的思考という点では完
全に負けていたということがわかる。また、毛がなぜあれだけのカ
リスマ的指導者になりえたのかも、本書を読めばわかるだろう。
もちろん、本人に都合よく編集されているだろうから、割り引いて
読む必要はある。しかし、本書を読む限り並ぶ者のない賢者として
状況を洞察し、神がかった予言者として人々に進むべき道をしめし、
こと戦争に関しては彼の言った通りになったことがわかる。どういう
編集がされているかはわからないから眉につばをつけて読む必要は
ある。しかし、たんなるエロ親父でなかったのはたしかだろう(w
ミネルバのふくろうは夕闇に向かって飛び立つという名言があるように
後知恵で賢げに書かれた本は数多い。しかし、これは指導者本人の
戦争当時の論説である。「銃口から政権が生まれた」という名言を
残し、曹操を意識していたともいわれる著者のこの著作はこと
軍事に関しては必読の書であると私は考える。