■■■ 空中給油機 ■■■

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96名無し三等兵
*長いけど日経の社説でーす*

社説1 次期防に効率化の視点はあるか
  政府が決めた次期中期防衛力整備計画(次期防、2001-2005年度)の狙いは本来何だったのか。
 「防衛計画の大綱」の次の一節に答えがある。
 「今後の我が国の防衛力については(中略)現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行い、
  その合理化・効率化・コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的向上を図る」
  大綱は1995年に決まった。目的は「多様な事態に対して有効に対応し得る」ためであり、
冷戦後の日本の防衛の基本が書かれている。
 それは極東ソ連軍に代わる新たな脅威に対する備えである。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の異変、地下鉄サリン事件のような事態への効率的な対応である。
 この観点に立って次期防をどう評価すべきなのだろうか。
政府・与党内で最も激しい議論になったのは、空中給油機の導入の是非だった。
 大綱が求める「合理化・効率化」を重視しようとすれば、空中給油機の導入は是認される。
訓練の効率化につながり、訓練機の離着陸が減り、基地周辺の騒音も減り、輸送機としても使える。
防衛庁の説明には特に疑う余地はない。
 空中給油機導入に対する反対論の根拠は、周辺諸国に警戒感を与えるとする懸念だった。
政府・与党内、特に公明党に警戒感が強かったようだが、多分に感情論的である。
 周辺国に警戒感を与えないために自衛隊の装備に制約を課す方法は、確かに簡単である。
しかし本当に警戒感を与えるかどうかは、装備ではなく防衛政策の中身による。
 政治の意思で警戒感を与えない政策をとる。
これが本来の手法であり、装備に制約を課す方法は、政治が政策面で自衛隊を制御できないとする自信喪失の表明に聞こえる。
 空中給油機の扱いは昨年も政府・与党内で議論になり、玉虫色の決着で結論を先延ばしした。
次期防には導入を盛り込み、2001年度予算への計上は見送るとする今度の決着も基本的には同じである。
先延ばしは「合理化・効率化」とは一致しない。
防衛費を負担する日本の納税者の利益とも一致しない。
 世界一高い九〇式戦車に代え、またも新戦車の開発に取り組む点も、場当たり的であり、説得力のある説明が難しい。
防衛論議に必要なのは、安全保障の視点だけではない。納税者の視点も重要である。