輸送船団の航路と、零式水偵隊の配備の仕方次第では、対潜哨戒が「もう少しマトモに出来た」可能性はある。
シンガポール=サンシャックの片道距離は約1100km、サンシャック=海南島も1100km、海南島=高雄が1200km、
高雄=上海が1000km、上海=門司が860kmの距離だ。
シンガポールからサンシャックへ、時速15節(28km/h)で高速巡航する輸送船団が、シンガポールを朝6時出港したとする。
例えば、輸送船団上空に、6時間交代で零式水偵を1機、以下のローテーションで配備し、
艦隊上空を∞飛行で高度をさほど取らず、有視界対潜哨戒を行い続ける、とする。
1直: シンガポール発600〜1200まで哨戒、13時前シンガポール帰着(飛行時間 7時間弱)
2直: シンガポール発1100、1200頃船団上空到着〜1800まで哨戒、20時前シンガポール帰着(飛行時間 9時間弱)
3直: シンガポール発16時過ぎ、1800頃船団上空到着〜2400まで哨戒、27時前シンガポール帰着(飛行時間 9時間強) ★24時はほぼ中間点
4直: サンシャック発21時過ぎ、2400頃船団上空到着〜0600まで哨戒、8時前サンシャック帰着
5直: サンシャック発4時過ぎ、0600頃船団上空到着〜1200頃サンシャック近海に船団到着
零式水偵は巡航で15時間飛行可能。金星43を搭載していたが、長時間対潜哨戒を行うなら、栄12に載せ替えれば、より低速で低燃費飛行が可能。
米潜水艦、対潜哨戒機が飛行してるなか、昼間に堂々と浮上する余力はあるまい。
電池に充電する必要に迫られるから、夜間は浮上し、強速で航行して充電したいことはヤマヤマだろう。
つまり、夜光虫等で航跡がクッキリする航行を一日一度は行わざるを得ないのだ。だから、夜間を含め、対潜哨戒機を常時張り付けることに意味がある。
シンガポール、サンシャック、海南島、高雄、上海、博多の6拠点に、それぞれ1コ中隊の水偵を配備し、
1コ小隊は輸送船団上空哨戒、1コ小隊は対潜攻撃に待機、1コ小隊は非番(整備)に充てれば、機材も人材も「非現実的なほど必要」でもないだろう。