軍事板書籍・書評スレ56

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960名無し三等兵
ジャンポールバリュ西方電撃戦

やっとアマゾンから届く
帯やネットの宣伝では「1940年のドイツ軍によるフランス電撃戦の全貌を豊富な写真と図面で描く」などと書かれていて
お決まりのミューズ渡河からの包囲やダンケルク撤退の記述が写真多めで紹介されている感じかな・・・などとあまり期待せずに買った
前作のバルジ作戦は買ってないし、まあ西方電撃戦の本が気合の入った値段で翻訳されて出たという事でお布施程度に考えていた
私はドイツ軍は興味深い敵役としてしか見てないし1940年以降の戦役もあまり興味がないのです

なのだがイントロダクションでいきなりドイツ軍に降伏するフランス軍の兵士だった著者の父親の話が・・・
思ったより思い入れがあるのだな、と思いながら読み進めた

まず結論から言うとページ数だけあって記述の範囲は広い
ポーランド戦時のザール攻勢やベネルクスの戦いやダンケルク撤退後のフランスの戦いの記述も多い
包囲されたマジノ線の最後も意外と珍しい所だが、要塞区一つ一つの終焉を記述してあった
範囲の広さは「第三共和制の興亡」を思わせるが比較的高位司令官の視点が多いあれと違い
こちらは概ね師団規模や大隊規模や兵士個人の視点の記述が多い
この辺は「電撃戦という幻」の記述を思わせるのだが、あれはセダン突破やダンケルク撤退をかなり重視しているのでここに差がある
なお政治や兵器の性能とかの部分は作戦や戦闘的な話に比べて割とざっくりなんでその辺は別の本で

写真が多いのだがただ載せてるだけじゃなくほとんどの写真に数行の解説が付いてるのがいい
この辺は値段を納得させられる部分だな
ということで、流し読みだが西方電撃戦の戦闘規模のまとめの本としてはとても良書ですね
個人的には18000円くらいまでなら買うレベルかな
西方電撃戦ってもっと詳しいあの本があるからこの本はいらないかな・・・
・・・としばしば思うのだけれどこの本については少なくとも日本には無いと思った