【敵機直上】本日の南雲部隊司令部 1AF【急降下!】

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377名無し三等兵
 六月五日のミッドウェー海戦のはじまる二〜三日前になり、やっと通信量が多くなり、
敵信班長与田(?)【原文のママ】兵曹長から通信参謀である私に方向があったのは、
六月三日の午後であったと記憶する。
それも、同班長から、
 「いま、米空母らしい電波が発信されているので、通信参謀ご自身でレシーバーを
かぶって、聞いて確認してください」
 と、受信室まで来るようにみずから呼びに来たのだった。レシーバーをかぶる始末に
なったことを、はっきり記憶している。

 その電波はわずかに聞きとれたが米空母のものかどうか即断できるわけでもない。が、
しかし、話を聞けば、前述した固定の呼び出し符号のものを中心に、いくつもの変わった
呼び出し符号の音の弱いものがつぎつぎと出現していることで、中心のものが空母である
との確信を得たわけである。

 そこで直ちに、司令部電信長・河野幹兵特務中尉(戦後、海田市に居住すると聞く)に命じ、
クェゼリンとヤルートとの両方位測定所をして、一斉方位測定をさせ、数回の方位線を得て、
それを海図に入れ、米空母の位置を求めた。
 
 ところで、クェゼリンとヤルートとのあいだの距離が近いため、ミッドウェー付近の地点は
きわめて底辺の短い鋭角の頂点になるので、東西の位置の線は正確でも、南北の位置決めには、
相当の誤差が出るものと考えられた。 【p. 40 - 41】 (続く)