>>850の続き
日本海軍では、これ以外にもいくつかの理由が挙げられ、旋回・俯仰の動力(水圧)
不足が原因で、斉発打ち方だと動きが鈍くなるとか、散布界が広がってしまう等の
問題がありました。
「妙高型で一番問題になったのは、20.3センチ砲10門を一斉射撃したさい、散布界が
大きいことであった。その原因はなかなかつかめなかった。
前後部の主砲間距離が開いているため、発砲時に船体にゆがみが生じ、そのため各砲の
発砲方向に狂いが出て来るのでないか、と推定された。
しかし、いろいろ調査研究したが、そうでは無いことが分かった。
>>851の続き
ではなぜか。この問題はかなりの期間謎とされていたが、後年になって突き止められた。
同時に発射された弾丸が空中を一団になって飛んで行くとき、それぞれの弾丸から発生する
空気波が相互に影響しあい、弾丸の飛翔を干渉していることが分かったのである」
(『巡洋艦入門』佐藤和正/著)
その後、同時発射の際に片砲を0.03秒だけ遅らせる九八式発射遅延装置が開発され、
開戦時には全門斉射が可能となった。
ただし、独リュッツオーだけは、前部砲塔(2基4門)と後部砲塔(2基4門)を交互に発射
させるという変則的な試射を行っています。