>>509の続き
今回、その射撃管制を担当したのは2番艦「イオアン・ツァラトゥスト」だった。
なぜ旗艦の「エフスタフィ」ではなかったのか。先頭艦は敵の攻撃が集中するので
射撃指揮装置もまた損傷しやすい。やはり被害局限を考えてのことかと。
また、先頭艦と殿艦では距離が離れているので、諸元が同じでも弾着がずれてしまう。
艦隊の中央艦が行うことにより、出来るだけその誤差を小さくしようということでしょう。
しかしドッガー・バンク海戦でも見られた通り、艦隊司令長官と戦闘指揮艦が別々
という状況では、意思疎通の円滑化が不可欠です。
英艦隊の場合、旗旒信号の発信ミスにより失敗したが、露艦隊では隊内無線を
主用していた。
つまり会敵の際には、まずツァラトゥストが測距を行い射撃諸元をはじき出す。
それを無線を使って全艦に伝達、発砲を開始する要領です。
旗旒信号や発光信号では、悪天候や煤煙等によりしばしば認識困難になりがち
なので、無線による指揮は賢明と言えると思います。