>>95 中国軍関連の書籍はできるだけ購入するようにしているので、新刊注文を
して読んでみた。
ネットなどの軍事記事をいろいろと掲載しているが、著者の軍事知識があまり
ないため、情報の精度に大いに問題がある。
兵器の問題に限っても
・H-6Kと巡航ミサイルの組合せにより、日本全土を攻撃可能(「日本など敵
では無い」とのこと)
・スウェーデンから「ステリン(記述ママ。スターリング機関か)」を導入、その
能力は海事の「そうりゅう」を上回る。
・台湾向けの小型核ミサイルは地上からのレーザー照準で目標に命中する
・中国はロシアから76SU-30MKK戦闘機とSu-30MKK戦闘機を購入。さらに
進化したSu-30を導入するかは不明(戦闘機の名称は記述のまま)。さらに
今年から来年にかけて駆逐艦2隻、キロ型潜水艦8隻を購入(注:その様な
契約は全く確認されていない)
続き
・殲-10はアメリカの同盟国から買った「F15/16」戦闘機の技術を元に設計、性
能は「F15/16」と遜色ない(ラビの名前は一切出てこない)。
・中国の兵器工業は、造船能力は年間150万トン、航空機は1200機、戦車は7000
〜8000両の生産能力を有する(戦闘機のエンジンはどうするんだ?戦車生産能力
も冷戦時代のソ連をはるかに上回る規模)。
・中国とロシアは軍事同盟を結んで技術や兵器を大量に提供する深い関係にある
(ここ数年の兵器取引のトラブルに関する記述はなし)
・中国には空母を設計する力は無く、外国の技術頼み。(しかし、後半の文章では
中国の空母開発や設計者の名前まで出てきている)
最後
中国の核開発やその管理の問題などの記述では一部面白いところ
もあるが、殆ど情報を精査することなく提示しているのでその信憑性
は大いに問題あり。
この本の記述を纏めると以下のように成るだろうか
・中国軍は莫大な資金を投じて日本を上回る強力な兵器を購入・開発
している。しかし、その兵器の水準は20年前のレベルで軍事工業部門
や核開発には問題が多い(どっちなんだよ)
・胡錦濤は軍を重視して統帥を行っているが、同時に軍に資金を渡して
好きにさせている。軍は腐敗しているが、能力主義である。
・中国の軍事力、経済力はすでにアメリカも一目おく存在、ロシアとも軍
事的同盟を結んで強い関係にある。
纏めると、中国のいろんな問題をあげつらうのだが、同時に中国は脅威で
あるという論調は堅持しているので、文脈が変わると論調も一変するのが
この本の特徴だった。
感想:1800円払って読む代物ではないな