>>513の続き
東郷長官にはその作戦指導において、明確な「指針」があった。
それは戦時国際法です。
そこには「降伏の際には機関を止めて停止しなければならない」とある。
「秋山はたまりかねたように、”敵は降伏です!”と怒鳴った。
が、東郷長官はやや不機嫌そうな表情をするが、依然として顔色一つ変えず、
右手に双眼鏡を、左手に”一文字吉房”を握ったまま微動だにしない。
ついに秋山は叫んだ。
”長官、武士の情けであります。砲撃をやめて下さい”
この言葉に切り返すかのように、東郷長官は
”本当に降伏すっとなら、艦を停止せにゃならん。現に敵は動いとるじゃないか”」
まさに国際法規の知識に基づく的確、冷静な判断、処置であり、戦う武人の
真骨頂とも言える言葉でしょう。