289 :
だつお ◆t0moyVbEXw :
2009/07/23(木) 13:32:47 ID:GbhdGda6 >>158 >>160 確かにコロミーエツ「バルバロッサのプレリュード」の記述のごとく、ワシレフスキー将軍
の対独先制攻撃案が廃案になったことは認めるが、廃案は廃案でも公文書そのものの
存在が否定されたわけではないというのが自分の見解。具体的には以下の記述の通り。
tp://mltr.ganriki.net/faq08a04b.html
(D.M.グランツ&J.M.ハウス「詳解 独ソ戦全史」,第2章/脚注29番,p.570-571)
> ジューコフの提案では、七月にそのような攻撃を始めるように求めているが、
>これがレズーンの説の核心となっている。
> この提案は恐らく事実であろう。
>だがそのような提案は、どの参謀本部の業務でもありうる多くの計画立案の一つであるように思われる。
ついこの前、フィンランドに対して不可侵条約を一方的に踏み倒して先制攻撃を加えたばかり。
また日本に対しても日ソ中立条約を一方的に踏み倒して満州へなだれ込んできた。
ヨーロッパだろうがアジアだろうが、先制攻撃こそが赤軍のドクトリンであり、赤軍とはそういう軍隊だ。
> スターリンが将来ドイツとソ連との間で戦争があるかもしれない、と認識していた事実
>を承認することはできるが、彼が最低一九四二年までは戦争が起ってほしくない、
>と願っていたことは数々の証拠から明らかである。
赤軍だってアホでもないかぎりは、ドイツ軍のソ連攻撃が差し迫ってることくらいわかるはずだ。
だがドイツにとってこの時期の独ソ開戦は絶好のチャンス、逆にソ連にとっては最悪の条件。
不可侵条約や中立条約は用済みになれば一方的に踏み倒すが、必要なら何としてでもしがみつく。
ソ連の対独先制攻撃の可能性だが、このようにソ連の都合次第でどうとでも解釈できるだろう。
290 :
だつお ◆t0moyVbEXw :2009/07/23(木) 13:49:35 ID:GbhdGda6
> ジューコフの提案では、七月にそのような攻撃を始めるように求めているが、 だがその前にドイツ軍が西部戦線で大敗し、かつ赤軍がヘルシンキを陥落させないと・・・ つまり可能性としては無いに等しいというのが自分の見解。 (対日先制攻撃でも日本軍が太平洋戦線で大敗し、かつ赤軍がベルリンを陥落させてから)
そこいら辺の邪推の根拠のなさは
>>134 で述べた通りだが、更に補足すると
>>143 >ただ単に「領土拡張」とか。フィンランドや満州でやった
基本的にフィンランド(カレリア)然り
ポーランド分割(西ウクライナ・西ベラルーシ)然り、
「帝政ロシアの旧領(含「勢力圏」)回復」って大義名分が有る。
満州の場合もほぼ同様の文脈で見てよいだろう。
ヤルタ・ポツダムでの米英のお墨付きもあるしなw
>>147 >戦前のポーランドとかフィンランドとか、初頭のポーランド分割とか、
>この辺りも忘れないで欲しいな。
上述の通り。
>既にソ連にとって独との緩衝地帯は消滅してるよ。
だとしても旧国境の内側までの時間稼ぎ位にはなるとの思惑があっただろう。
まぁ史実では奇襲効果もあって独軍の進撃速度が予想を遥かに超えた訳だが。
で、旧ロシア帝国領土/勢力圏の外側の処分については、
史実の戦後の東欧が正にそうだが、
直接統治するよりは現地人に傀儡政権作らせ間接統治した方が、
コストがかからない。ってのがソ連的思考法。
上述の旧露帝国領の場合、露系住民や親露現地人が居るから同化は用意だが
この時期ブーク側の向こうにはそういう層は居ない。
裏を返せば史実の東欧諸国の場合、現地の共産主義者に加え、
大量の戦時捕虜をも洗脳できたからこそああいう形が可能だったわけだ。
それでも後にハンガリー動乱やプラハの春を招いたが、
裏を返せば直接統治であれ間接統治であれ、
異民族を支配するという事はそういうリスクを背負い込む事になるわけで、
そのリスクを敢えて冒すメリットや必要性が無い限り
ソ連がブーク川を越え西に進む可能性は考え難い。
追記:普通ある国家が他国に対し領土的野心
(この場合、ある地域を自国領土or勢力圏化したいという
純粋な”領土”に対する野心)を抱く原因としては、主として
(1)自国領内で賄いきれない天然資源・可耕地或いは排他的市場の欲求
(2)敵対勢力から自国要部への戦略縦深の確保
(3)自国内民族と文化的・民族的に同一な地域の統一
の3項目が挙げられる。
ドイツの場合(1)〜(3)の全てが要因として当てはまるし、
とりわけ「レーベンスラウム」の概念と(1)は親和性が高い。
片や基本的に自国領内で大抵の資源が賄え、計画経済なソ連の場合
少なくとも(1)は当てはまらない。
>>291 に書いたとおりソ連の「侵略」は
(2)(3)の文脈でなされた物が多く、
しかも
>>134 で述べたとおりトロツキーの世界革命論が、
この時期のソ連で異端扱いで有る以上、
少なくとも自ら積極的に侵略をしかける理由も必然性も無い。
293 :
だつお ◆t0moyVbEXw :2009/07/23(木) 19:06:39 ID:GbhdGda6
>>291 邪推とは思わん。ソ連はフィンランドと不可侵条約を結んでいたし、日本とも中立条約を結んでた。
そしてそれぞれソ連が先制攻撃をかけた時点で、条約はまだ有効期限だったはずだ。
ソ連とフィンランド、ソ連と日本は、書面上は対等な関係で条約を結んでたのに、ソ連は約束を守らなかった。
大祖国戦争でソ連がナチスドイツを撃破した偉業は認めるが、後にも先にもソ連はその国の都合で
条約を反故にして先制攻撃を発動している。その意味では「先制攻撃が赤軍のドクトリン」で間違いない。
tp://www.weblio.jp/content/%E5%86%AC%E6%88%A6%E4%BA%89
戦後の欧州情勢の変化とフィンランドの中立政策の変貌
294 :
だつお ◆t0moyVbEXw :2009/07/23(木) 19:22:22 ID:GbhdGda6
>基本的にフィンランド(カレリア)然り >ポーランド分割(西ウクライナ・西ベラルーシ)然り、 >「帝政ロシアの旧領(含「勢力圏」)回復」って大義名分が有る。 上と下を見比べてみれば一目瞭然だが、ソ連はフィンランドに対し冬戦争に加えて継続戦争でも、 さらなる領土割譲を強いているのだぞ。「帝政ロシアの旧領(含「勢力圏」)回復」どころではない。 tp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Finnish_areas_ceded_in_1940.png ファイル:Finnish areas ceded in 1940.png 1940年3月12日、モスクワ講和条約が結ばれた tp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Pariisin_rauha.png ファイル:Pariisin rauha.png 1947年の連合国21ヶ国に対する講和条約、パリ講和条約の調印後
>>289 >だがそのような提案は、どの参謀本部の業務でもありうる多くの計画立案の一つであるように思われる。
ここを無視するなよ。
>>294 継続戦争でドイツの尻馬に乗って再度戦争仕掛けたんだから、その理屈は通らんよ。
更にフィンランドの独立は"ロシア革命後"だぜ?
先制攻撃が赤軍のドクトリンだとしても(ドイツもお互い様だが)
それが対独先制攻撃説を立証することにはならない。
>>293 また「ドクトリン」の定義から叩きこまれないと解らないのか?w
で、ここで論じてるのはソ連がドイツに先制攻撃をかけるか否かだが、
繰り返すがドイツ側に明白な対ソ侵略の兆候が見られる様な場合を除き、
ソ連がドイツに先制攻撃かける理由自体が無い。
お前さんは
>>143 でその理由を「領土的野心」と決め付けたが、
それに根拠が無く、又お前さんが上げるフィンランドや満州の例を以て、
「ソ連のドイツへの¨領土的野心¨」の存在を論証する論法に無理があるのは、
>>291-292 で述べた通り。
はっきり言えばドクトリン云々以前に国家戦略上の要否と損得の問題から、
ソ連にドイツを先制攻撃する意思や必要があるとは思えないってだけの話。
にも関わらずピントの外れた例示を元に、
さしたる根拠も無く「赤軍のドクトリン」を語り、それに基づいて、
「ソ連のドイツに対する¨領土的野心¨」をでっちあげるお前さんの論法が、
邪推だと言ってる訳。お解り?w
298 :
だつお ◆t0moyVbEXw :2009/07/23(木) 19:38:57 ID:GbhdGda6
>>295 >どの参謀本部の業務でもありうる多くの計画立案の一つ
無視していない。それは米英日独中でどの参謀本部の業務でもありうる多くの計画立案の一つ。
仏印進駐や真珠湾攻撃を発動した大本営参謀本部、フライングタイガーを中国送りしてた
ホワイトハウス参謀本部も同じ。イギリスもプリンスオブウェールズとレパルスを極東派遣してる。
台湾に逃れた蒋介石率いる国民党軍も「大陸反攻」を叫び続けてその計画を練ってたし、
また共産中国の人民解放軍も「抗米援朝」で朝鮮戦争に参戦している。
>>294 大体言いたい事は
>>296 が書いてくれたので、一点だけ付け加えると、
フィンランドは国土の「 全 土 が 」旧ロシア帝国領でしたが何か?w
300 :
だつお ◆t0moyVbEXw :2009/07/23(木) 19:59:14 ID:GbhdGda6
>継続戦争でドイツの尻馬に乗って再度戦争仕掛けたんだから、
戦争仕掛けてない日本の場合も、ソ連からは1945年の満州で「先制攻撃」をやられてるぞ。
フィンランドと日本の例をみれば、後にも先にもソ連は領土拡張を意図している。
>お前さんは
>>143 でその理由を「領土的野心」と決め付けたが、
同じ日、五月五日、ソ連首相スターリンは、ヒトラーに対応するかのように
クレムリン宮殿に陸士卒業生を招いて講演した。
そして首相スターリンは、ヒトラーが想像する消極的な「専守防衛」思想とは正反対に、
積極的な思想を披瀝した。
<中略>
その夜、祝賀パーティがひらかれた。
一人の将軍が、ヨーロッパの平和維持にたいする首相スターリンの貢献をたたえて乾杯
を提議した。首相スターリンは、憤然としてさえぎった。
「平和主義のスローガンは、いまや廃物だ。ソ連の国境を北と西に拡張するときには、
それを利用したが、もう一インチの領土拡大にも役立たない。
ソ連にとって、武力による膨張の時代が開幕したのだ。国民は侵略戦争が不可欠だとの教義をうけいれ、
永久動員下におかれねばならない」
<児島襄「第二次世界大戦 ヒトラーの戦い3」 511・512頁>