100年に一度という不況の時代でも、ハンバーガーチェーン店へ行くと、大勢の
子供たちでにぎわっています。子供たちだけでなく、時間帯によってはビジネス
パーソンがコーヒーを飲みながらパソコンのキーを叩いている姿もよく見かけます。
大手のハンバーガーチェーンでは、包丁が欠けて異物混入になるのを避けるため、
厨房に包丁を置いていません。ミートパティは凍結状態で入荷され、レタスは洗浄
してから袋詰めし、盛り付ける直前の状態で入荷されてきます。
しかし、それらのハンバーガーはわりと単純な作業で作れたり、あまりにも簡単に食べ
たりできるため、ミートパティに使用している牛肉が、牧場にいる牛から出来ていることを
多くの人は思い浮かべないでしょう。
ハンバーガーのミートパティの原料は全て牛肉です。牛を屠畜(とちく)し、解体し、
骨を外すことで、食べることができる“牛肉”になります。
大きく育った牛は牧場から食肉処理場(=屠場:とじょう)へトラックで運ばれます。
屠畜される牛は、内臓の汚物を出し切るために数日前から絶食させられます。
屠畜の当日は、処理場の中に連れてこられ、額の真ん中を銃で打ち抜き、専用の道具で
脳をかき回します。この状態では、心臓は動いています。後ろ足をチェーンでぶら下げて、
首の頚動脈を切断し、放血します。心臓が動いたまま放血しないと血液を完全に抜くことは
できません。
私たちが食べている牛は自然な生殖活動を行っていません。特に日本の牛たちは、ほとんど
人工授精で生まれてきます。
種牛ではない一般の雄牛は、生まれたらすぐに去勢されます。睾丸が付いたままだと肉が
おいしくなくなるからです。角のある牛は角が切られ、狭い牛舎で食べて太ることだけを求め
られるのです。