アメリカ企業と日本企業がボートレースを行なった。どちらのチームも練習に
練習を重ねて臨んだが、日本企業のチームが五分二十秒という大差を
つけて勝った。
アメリカ企業のチームは大いに落胆し、コンサルティング会社に依頼して
その原因を探ることにした。
コンサルティング会社による調査の結果、日本企業のチームは漕手が八人、
舵手が一人で構成されていたのに対し、アメリカ企業のチームは漕手が一人、
舵手が八人で構成されていたことが明らかになった。
コンサルティング会社は、半年間にわたり、数百万ドルの費用をかけて
改革案を練った。その結果、アメリカ企業チームは舵手を減らすべきである
という結論を導いた。
翌年のレースでは、コンサルティング会社の提案により、アメリカ企業は
チームの構成を大幅に変更した。新構成では、舵艇ディレクターが四人、
舵艇マネージャーが四人、漕手が一人になったほか、新たに開発された
漕手成績評価システムが導入された。
結果、日本企業のチームが十一分十秒の差で勝った。屈辱的な敗退を
喫したアメリカ企業チームは、成績不振として漕手を解雇し、不振の原因を
特定した舵艇ディレクターたちには特別賞与を与えた。