SBCTについて その10

このエントリーをはてなブックマークに追加
53名無し三等兵
Michael L. Burgoyne and Albert J. Marckwardt
The Defense of Jisr al-Doreaa
With E. D. Swinton's "The Defence of Duffer's Drift"
ttp://www.press.uchicago.edu/presssite/metadata.epl?mode=synopsis&bookkey=400779
読み終わる。スウィントンの反復想定と異なり古典にはならないと思える。
政治的正しさが問題となる内乱戦役における治安戦が進行中の状況ゆえの筆に制約が
あると思われる点と、反復想定という形式にあう素材なのかという疑問ゆえ。

実際には小隊長や中隊長にとっては自軍のRoEとの格闘やブラックウォーターに代表される
民間武装警護会社や担任地域内にも入り込みマンハントをする特殊作戦部隊、大隊の担任地域
内で活動する狙撃班などの調整が不可欠となる。そして、州議会や市議会などはブレマーに
よると占領初期に米軍がとりあえず任命したものがまずある状態であり、イラク政治家との交渉
は政治家の腹一つで決断できる情勢ではないがゆえに、つまり政治を内乱におけるあらゆる
暴力手段で行っている状況ゆえに思い通りには進まない。これらの事情は全て著者らが経験
したことは疑いもないが捨象されている。もっともこれらの面をボーア戦争のスウィントンも
描いていないのだが。

もう一つは短時日、二昼夜で全て終わる通常戦闘ではなく、最長で15ヶ月間、イラク人の側から
すれば1990年やその前のイランイラク戦争からの状況の継続であり、政治が大きく状況を
左右しえる上に、治安、経済、訓練育成支援、政治統治、上下水、橋梁道路インフラなど
複数の作戦線が交差するのを描ききれて居ない点である。