ハンドガン総合スレ34

このエントリーをはてなブックマークに追加
306ショットガン太郎 ◆ug4iNBVf9U
違う例をあげてみよう。アメリカ人は22口径リムファイア弾は、プリンキングなどの射撃遊びの弾だと思っている。
攻撃や武装用の弾ではない。
万一、事故が起こり、22口径弾が誰に当たったと仮定する。しかし当たった本人が、
その弾はお遊び用の22口径リムファイア弾だと知れば、多少は安心する。
357Magnumや9mmパラベラムで撃たれたのでは無くて良かった。22口径だったので助かる、
そう考えると、それは単なる怪我という認識となり、その人に大きなショックを与えることはない。
ところが銃のことを良く知らず、銃はとにかく危険なものという認識を持っている人、
たとえば日本人が被害者だった場合は同じ怪我でも事情が違ってくる。

銃で撃たれたということが大変なショックとなり、全く命に別状の無いレベルの怪我であっても、
死んでしまう場合がある。弾が当たったことが精神に衝撃を与え、もう助からないと思い込むとそれで死んでしまうのだ。
弾が当たっても、そんなくだらないもので死ぬとは考えないモロ族は、
それが致命傷でない限り、そのまま突撃をおこなえたのだ。
もうひとつの死、肉体的な死とはどういうものだろうか。致命的な器官が破壊されれば、
人間は機能を維持できなくなり、生命活動は停止する。あるいは大きな傷を追い、
血液が大量に失われれば死に至る。これが物理的な死、肉体的な死だ。
38Long Coltは、肉体的な死を相手に与えるほど強力ではなかった。
45Coltは大きな質量の弾丸を叩き込むことで、肉体器官を大きく損傷させ相手を倒す。
モロ族との戦いはこの差が顕著に現われた例だ。
307ショットガン太郎 ◆ug4iNBVf9U :2009/05/17(日) 14:43:43 ID:???
同時期、中国でも同様の事態が発生した。北清事変、またの名を義和団事件(Boxer rebellion)だ。
これは19世紀末の中国における排外運動だ。義和団とは義和拳とよばれる武術を修練したカルト教団である。
彼らは義和拳(一種の拳法)を修練すれば不死身の身体となり、さらに修行を積めば天を飛翔する能力を得ることができると信じていた。
その義和団が民衆を巻き込み、清朝と手を組んで外国人排斥運動を展開した。
「扶清滅洋」(清を助けて、西洋を討ち滅ぼす)をスローガンに、各地の教会を襲撃してキリスト教徒を殺害し、
鉄道を破壊した。彼らは大勢力となって北京に入り、外国人を殺害し続けた。
 欧米および日本は軍を中国に派遣してこの義和団を制圧した。これは1899年から1900年の出来事だ。
この時、敵の中心勢力である義和団は、既に述べたように義和拳で自らを不死身だと確信しており、
低威力のピストルで攻撃しても倒れず攻め入ってきた。まさにモロ族と一緒だ。
自らを死なない存在だと思い込んでいる敵は、肉体組織を破壊して物理的な死に導かなくては倒れない。
308ショットガン太郎 ◆ug4iNBVf9U :2009/05/17(日) 14:44:27 ID:???
 38 Long Coltの威力不足は当時、アメリカ議会でも問題となった。
だからと言ってすぐに大口径に移管されたわけではない。しかし結果的にアメリカ軍は38口径に見切りを付け、
45口径のセミオートマチックピストルの採用に向けて動き出すことになった。
これがアメリカで現在まで続く45口径神話の発端だ。モロ族と戦ったのはアメリカ軍だが、
ヨーロッパは義和団と同時期に戦っている。この19世紀末と20世紀初頭はセミオートマチックが実用化に向かった時代だ
期せずして同じような経験を、アメリカとヨーロッパはアジアで経験した。
その結果、アメリカは45口径を採用したが、ヨーロッパは9mm口径を普及させていった。
100年が経過した現在でも、アメリカ人は45口径へ強い信頼を寄せている。
1985年、アメリカ軍が9mmへ移行し、45口径は過去のものとなるかと思われたが、結局、
45口径は消えることはなかった。いやむしろ、その評価は高まってきている。