ミサイル防衛──オバマを悩ますスターウォーズ
ニューズウィーク日本版3月16日(月) 17時 0分配信 / 海外 - 海外総合
オバマ政権にとって、ミサイル防衛計画(MD、通称スターウォーズ計画)の扱いは複雑な問題だ。
新政権はミサイル防衛を交渉材料に使った。オバマ大統領は2月、ロシアのメドベージェフ大統領に
書簡を送り、イランの核開発阻止に協力すれば、アメリカがポーランドに配備すると決めた迎撃ミサイル
計画を中止すると伝えた。
その後ティモシー・キーティング太平洋軍司令官は、北朝鮮がミサイル発射実験をした場合、それを
撃ち落とす準備ができていると、テレビインタビューで語った。
とはいえ、オバマはミサイル防衛に懐疑的だ。ホワイトハウスの公式サイトによれば、オバマはミサイル
防衛が機能するという確信が得られなければ計画は進めないという。今のところシステムの有効性に
確証はない。
本誌が入手した最近の国防総省報告書(第三者が執筆した)によると、現時点の技術は「確かな」
レベルには程遠い。アラスカに配備された旧式の対弾道ミサイルシステムの実験結果は「作戦能力を
立証するには不十分」だと報告書は指摘している。せいぜい北朝鮮の「単純な弾道ミサイルの脅威」を
めぐる「緊急事態」に役に立つかもしれない程度という。
ブッシュ政権が東欧に配備しようとした迎撃システムに関しては「分析や実験室でのテスト、もしくは古い
モデルやシミュレーションで定義された概念」と同報告書は位置づけた。つまりまだ構想段階にすぎない
(米ミサイル防衛庁の広報官は、東欧向けシステムは新たな実験が必要だと認めた)。
政権筋によれば、オバマはミサイル防衛システムに熱心ではないが、一方でロシアに屈服したと見ら
れるのも避けたがっている。
また2人の政権関係者は、オバマは金正日(キム・ジョンイル)政権と慎重にかかわろうとしており、
対北朝鮮でミサイル迎撃も辞さないとするキーティング司令官の発言は不適切だと述べた(キーティング
の広報官はコメントを拒否)。関係者の1人は「ホワイトハウスは快く思わなかった」と言う。
ttp://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090316-00000302-newsweek-int 日本vs北・ロシア、どちらをとるのかオバマンの正念場_