欧米の評価が変わってきた日本の「失われた10年」
日本のバブル崩壊後のマクロ経済のパフォーマンスに対する欧米のメディアの評価が変化している。
英「エコノミスト」誌2月14・20日号は、米ワシントンDC駐在記者の「日本より悪い?」という記事を載せている。
ポイントを紹介すると、IMFによれば、過去の金融危機における銀行の不良資産のGDP比はスウェーデン
13%、日本35%だった。一方、ゴールドマン・サックスが推計した今回の米国銀行の不良資産はGDPの40%
に達するという。
スウェーデンの金融危機では、不良資産は少数の大銀行に集中していた。しかし、今回の米国の問題は、
表の銀行システムだけでなく、投資銀行やヘッジファンドなど「陰の銀行システム」も深刻な困難を抱えている。
日本ではバブル崩壊後に、企業がバランスシート調整のために債務を返済し、貯蓄を増やした。代わりに
日本政府は需要を支えるため財政赤字を膨張させた。米国政府は、当時の日本以上に財政刺激策を長く
行なう必要があるだろう。
日本の経験をこれまで軽く見ていた米国の政策決定者の態度は、おそらく誤りとなる。この10年の日本の
平均成長率は年率1%しかなく、政府債務がGDPの80%に達している状況は誇れるものではない。
しかし、今日の米国の混乱のマグニチュードを考えると、それは悪くないと見える、と同誌は書いている。